インターネット・ビジネス論


第6課  インターネット産業革命
高速インターネットやモバイルインターネットの急速な普及により、インターネットはますますその存在感を高めてきております。インターネットによるインパクトが一層強大なものになり、これに伴って産業構造が大きく変貌しつつあるのを見てとることができます。産業の構造が変わり、そこにおける主導権が移行しつつあるのですから、“インターネット産業革命”進行中と言っても過言ではないように思われます。インターネットの商用化に伴って出現した新ビジネスを足場に成長してきた“インターネット企業”が産業構造の中に確固たる地を占めるに至っていることの他に、「物流」機能に対する依存度が低い「情流ビジネス」(広告・旅行・音楽・映像)や「情流による金流ビジネス」(金融)の業界に対するインターネットのインパクトは強く、“インターネット産業革命”が先行的に進展しているように見えます。

6-1.インターネット企業の台頭

6-1-1. アメリカの状況

インターネット先進国のアメリカでは、情報技術(IT)主要80社の2004年の利益が、過去最高を更新した模様と伝えられています。企業収益と消費の両面でインターネットの存在感が高まっており、以下のような要因を背景として、IT産業においてソフト、サービスが収益をけん引する構造へ転換が進展していると報じられています(2005/1/28 日本経済新聞)。

1. インターネット通販の浸透

2004
年の年末商戦でのネット販売額は前年比25%増え、全米の小売り全体に占める割合は初めて10.4%と大台に乗った。

2.インターネットを追い風にした音楽・映像デジタル機器の販売増

アップルコンピュータは携帯音楽プレイヤー「iPod」の大ヒットで
200410-12月期の業績が約5年ぶりに最高益を更新。アップルコンビュータの「iPod」」の優位性は機能やデザインだけではなく、「音楽配信と組み合わせた新提案が潜在需要をとらえた」と評価されている。

3.ネット広告・ネット検索ビジネスの台頭

情報の即時性、双方向性を持つネットは広告にも浸透。ヤフーの
2004年ネット広告収入は前年の2.5倍に跳ね上がった。2004年に全米の企業広告費に占めるネット広告の割合は3.7%に達したものと推計されている。2004年夏に株式上場したネット検索大手グーグルの収益も急拡大している。

注目すべきは、株式市揚でもネット企業の価値が高いことで、企業価値を示す時価総額はグーグルが515億ドル、ヤフーは484憶ドルで、ゼネラルモーターズ(200億ドル)など大企業を圧倒しており、ヤフーとイーベイも日本を代表する優良企業のホンダやソニーの時価総額を上回っているということです。

このヤフー、イーベイとアマゾン・ドット・コムとが米「ネット御三家」と呼ばれていますが、グーグルの時価総額は「御三家」を凌いだ形になっています。ネット競売という新たな市場を開拓したイーベイも、必要な手続きをすべてウェブサイトや電子メールで完結できる技術で利用者を増やし続け、収益を伸ばしています。

創業当初は採算性が疑問視されたネット書店のアマゾン・ドット・コムも、品ぞろえと効率性、利用者の二―ズを把握した「おすすめ品」の選定などでサイトの性能を向上させることによって利用者の増加が続き
2003年に最終黒字に転換しています。

一方で、
1995年にネット企業として初めて上場した閲覧ソフトの草分け、ネットスケープが収益源を確立できないまま買収された例のように淘汰が進みながら、インターネットの離陸期のバブリーな評価と違って、収益の裏づけ付けがある成長性が評価され、ネット企業が米国産業の中で確固たる地位を占めるに至っているということをここに窺い知ることができます。

6-1-2. 日本国内の状況

日本のネット企業を代表する楽天、ヤフー、ライブドアの3社が、戦略こそ異なるものの、ネット企業としての総合力を競う局面に入りつつあり、この日本版「ネット御三家」が連日報道面を賑わしています。この3社の財務と事業の内容は下表の通りです。

楽天

ヤフー

ライブドア

2004/12

2005/03期予想

2004/9

財務内容

売上高

455億円

1.160億円

308億円

経常利益

154億円

590億円

50億円

時価総額

11,793億円

40,009億円

2,301億円

総資産

3,075億円

1,002億円

1,002億円

事業内容

通販

旅行

証券

×

銀行

×

ポータル

競売

プロ野球

×

×

6-1-2-1. 楽天

楽天は積極的なM&A(企業の合併・買収)によって業容を拡大しながら日本を代表するネット企業の地位にのし上がってきました。過去に30前後の案件に1,000憶円程度を投じた結果、総資産は日本版「ネット御三家」の中で最も大きくなり、これによって電子商取引、ポータル、旅行、金融の各事業部門に進出しネット総合企業の素地を整えています。しかし、資産規模はヤフーの3倍なのに、経常利益は1/3。収益力を反映して時価総額もヤフーの1/4の程度ですので、今後は各事業の相乗効果を引き出して収益力を高めることが課題とされています。

楽天の200412月期連結決算は経常利益が前の期の3.5倍の154億円となり、過去最高を大幅に更新しました。売上高は同2.5倍の455億円。プロ野球参入とオンライン証券会社などの大型買収の効果が業績伸長の主な理由となっています。特に、プロ野球への参入効果で知名度が上がったことによって、楽天の提供するサービスの利用者が増加するとともに、仮想商店街「楽天市場」への出店者獲得でもこれが大いに有利に働き、特に、プロ野球ファンが多い50歳代以上の顧客の獲得のペースが加速したために、高年齢層の利用頻度の多いネット証券や宿泊予約の取引拡大につながったものと見られています(2005/2/18日本経済新聞)。

トツプページの視聴件数(ぺージビュー)2004年秋から前年比で約8割増のペースを維持していましたが年明け以降はプロ野球のキャンプやオーブン戦を通じ「楽天」ブランドが新聞やテレビに出る機会が増えたため、「ページビューの拡大基調が加速した。宣伝効果を考えると野球参入は安かった」と見ています(三木谷社長) 2005/3/5 日本経済新聞)。

(1) 電子商取引(ネット通販・ネット競売)

「楽天市場」の出店数は更に
2005224日時点で、2004年末よりも約500店増の11,500店に増えています。インターネット利用者以外での知名度が向上したお陰で、従来は少なかった50歳代以上の会員が増加しているので、同社はシニア向けのサービスの拡充を進め、商店街でもこうした顧客層の取引を促す姿勢を見せています(2005/3/5 日本経済新聞)。

(2)総合旅行会社へ


楽天は2003年、国内のネット宿泊予約最大手「旅の窓口」の運営会社を買収したのに続いて、格安航空券卸大手のワールドトラベルシステム(WTS)の発行済み株式の20%を取得して海外航空券の販売に参入して旅行業務全般にサービス内容を拡大し、インターネット総合旅行会社化に踏み切ることを発表しています(2004/8/18 日本経済新聞)。格安航空券の卸では業界上位三位に入るWTSの航空券予約・販売システムをベースに、独自の販売システムを共同で構築し、楽天の旅行サイト「楽天トラベル」で海外航空券の予約と販売を開始し、更に自社で航空券の仕入れ業務にも関与することによって、宿泊予約と組み合わせた独自の海外パッケージ旅行を企画販売することも可能になりました。海外航空券を手始めに更に鉄道などの他の輸送機関のチケットやパッケージ旅行などのサービスも順次拡充し、総合旅行会社化を促進しています。

旅行サイトの顧客に購入額に応じて仮想商店街「楽天市場」でのオンラインショツピングなどに利用可能なポイントを付与するサービスなど、従来サービスとの相乗効果を高めてきた結果、2004/12月期決算では、売上高61億円営業利益20億円で、それぞれ構成比が13%14%を占めるに至っています(2005/2/18日本経済新聞)。

宿泊予約サイト運営の楽天トラベルでは、まず農協観光と読売旅行から請け負って、自社サイトでの中堅・大手旅行代理店の宿泊予約販売の代行を始めています(2005/4/25 日本経済新聞)。全国規模で営業する代理店が競合相手となる宿泊予約サイトに販売を委託するのは異例のことですが、それだけ楽天トラベルのサイトへの集客力が強いということであり、代理店側としては、名を捨てて「ネット経由の宿泊予約の拡大」の実を取ったものと見られます。代理店は宿泊施設から受け取る販売手数料の一部を楽天トラベルに支払いますが、楽天トラベルの集客力を生かし、部屋の売れ残りを防ぐことができますし、宿泊施設側としても部屋の稼働率向上が見込めるわけです。

楽天が2004/6中国の宿泊予約サイト最大手のシートリップ・ドットユムに出資した後に、楽天トラベルは宿泊予約可能な中国のホテル数を2005年中に現在の倍の1,600軒に拡大し、日本から中国への出張者の増加で宿泊予約ニーズが拡大していることに対応するほか、観光客需要を取り組む計画があることを表明しています(2004/9/20 日本経済新聞)。

楽天トラベルでは現在、青海省を除くすべての省、自治区、直轄市のホテルの予約が可能で、上海だけで120軒、北京で80軒、広東省でも20軒のホテルの予約ができ、予約件数は毎月、前月を30%上回るペースで増加している旨報じられています。


(3)
金融業(オンライン証券、カードローン)


楽天は、ネット通販事業を伸ばすと同時に、通販を補完する金融事業を強化してきています。
2003年秋に買収して発足した楽天証券が2004/12月期から通年で連結対象になり、金融部門の売上高139億円営業利益46億円は、それぞれの構成比31%に達し、電子商取引に次ぐ事業収益の柱になっています(2005/2/18日本経済新聞)。

楽天証券が旧日本長期信用銀行を母体とする新生銀行とネット金融で提携したのも楽天グループの金融事業の強化策の一環で、これによって、新生銀行のネット上で総合口座を開設すると、そのまま楽天証券の証券口座が利用できるようになり、株式売買の注文などもできるようになりました(2004/11/25 日本経済新聞)。しかし、楽天証券の会員番号やポイントサービスをネット通販と共通化し、顧客が複数サービスを利用しやすくはしていますが、ネット通販の顧客がオンライン証券を利用するといった乗り入れはまだあまりなされていないようです。他の事業との相乗効果がここでも大きな課題になっているようです。


(4)
プロ野球


プロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」の参入初年度の
2005年は営業損益が9億円の赤字ですが、それ以降、赤字幅は年々縮小し、4年目の2008年に売上高95億円、営業利益2億円となり、日本プロ野球組織(NPB)に提出した計画より1年早く黒字転換するという見通しが公表されました(2005/2/18日本経済新聞)。

鳴り物入りでプロ野球に新規参入した楽天の動きは、その「インターネット中継」が「通信と放送の融合」の先駆的な事例となるものと注目されていました。しかし、プロ野球開幕直後の時点では、同じようにネット中継を始めたソフトバンクのサイトの1日当たりアクセス件数が最高21万件に達したのと裏腹に、楽天の契約数は500件の枠に対し僅か7件にとどまるという低調な出足になっています(2005/4/11日本経済新聞)。楽天はフルキャストスタジアム宮城(仙台市)に4台のカメラを設置し、無償で放送しているソフトバンクと違って、2005年の主催68試合の「視聴権」を10万円で販売しています。「インターネット中継」を新たな事業として採り上げているわけですが、そのフィージビリティが問われているところです。

6-1-2-2. ヤフー

ヤフーの事業規模は19961月の会社設立以来、インターネットが日本の社会に浸透する流れに乗って急拡大してきました。サイト上で展開するサービスも多様化し、20041年間だけでも9種類新設し76種類に達しています(2005/1現在)。ポータルやネット競売事業で業界首位のヤフーは、これまで圧倒的地位を握る両分野を中心として、収益力を高めることを優先してきました。その結果、売上高経常利益率も高く2004年末段階で550億円弱の現預金を持ち、楽天を遥かに上回る財務体質が備わったのです。しかし、最近は買収をテコにした積極路線にかじを切り始め、あおぞら銀行の信託子会社の実質買収によってネット銀行に参入すると1月に発表しています(後述)。ネット金融への進出は「生活密着型のネットサービスは全て手がけたい」という総合ネット企業化志向の動きの一環ですが、今後の収益性とのバランスの取り方が注目されるところです。

サイトに接続する顧客数の増大に対応するためのIT(情報技術)設傭の充実、あおぞら信託銀行の買収をはじめとするM&Aに伴うのれん代償却などの営業外費用やネット競売の不正対策費(詐欺や不正出品を防止するため取引を常時監視する担当者の増員など)も嵩み事業急拡大による経費増加も目立ってきましたが、同社首脳は「一時的に減益になっても将来の成長を狙った投資は必要不可欠」としています。

(1) ポータル(玄関)サイト

ヤフーは日本最大のポータル(玄関)サイトを運営しており、月間の利用者数は約3,700万人にのぼっています。このサイトで消費者が使うお金の総額は月間で約660億円。この1年で1.4倍に拡大したお金の流れを自社のグループ内に直接取り込もうとする思惑が後述のネット金融事業進出の動きの背景にあります(2005/1/21 日本経済新聞)。

(2)
ネット広告

ヤフーの
20053月期連結決算は純利益が365億円と前の期に比べ47%増え、過去最高を更新しました。検索連動型広告を主体とするインターネット広告が好調だったのが主因で、「ネット広告市場が予想以上の速さで拡大しており、企業にとってネット広告はなくてはならない存在になった」と同社首脳はみています(2005/1/21&2005/4/21 日本経済新聞)。売上高は1,077億円と55%増加で、前の期を上回る増収率を可能にしたのが、化粧品や飲料をリード役としたネット広告と、求人情報サイトの伸びだとのことです。ヤフーのサイトの1日あたり閲覧回数は200410月に10億回を突破していますが、「閲覧回数の増加→サイトの価値向上→広告受注増」の好循環を生んでいる模様です。

(3)旅行業

2000/3
ヤフーはJTBなどと共同出資で旅行会社「たびゲーター」を設立しましたが、更にこの「たびゲーター」が仕入れた航空券をポータル(玄関)サイトの旅行コーナーで販売するという形で、海外格安航空券のオンライン販売に乗り出しました(2004/11/4 日本経済新聞)。ポータル最大手ヤフーの参入で格安航空券販売のネット化が加速するものと見られています。パソコン画面上で空席の確認や複雑な料金計算、予約、決済などを迅速にできる手軽さが特徴で、利用者はパソコン画面上で出発日と渡航先を入力し、表示された往路の航空券の空席から希望のチケットを選択、帰りの航空券も同様に選び、クレジットカードで決済することができます。従来のヤフーのサービスは、百数十社の販売会社が取り扱う格安航空券の情報をサイト上に掲載するだけのもので、利用者は希望の航空券の在庫の有無を各販売会社にメールで問い合わせて購入なければなりませんでした。日本と世界600都市の空港を結び約4千種類の航空券を取り扱う新サービスを採り入れたことはヤフーの旅行産業への本格参入を意味するものと考えられます。

(4)オークション

2004
年クリスマス商戦でネット競売を伸ばしたヤフーは、更に、携帯電話の機種ごとに最適な画質で画像配信できる新システムをモバイル版「ヤフー・オークション」に導入してインターネット・オークション事業の強化を推進しています(2005/3/22 日本経済新聞)。インターネット・オークション利用者は出品された商品の画像を確認したうえで応札する傾向が強いので、画質の優れた配信システムを持つことは有力な武器になるわけで、ヤフーはこの新システム導入によって携帯電話を使ったオークション利用者の拡大に弾みをつけることを目論んでいます。これまで携帯電話向けのコンテンツ(情報の内容)事業者は携帯電話の機種に合わせた画像を作っておくなどの対応が必要だったのですが、アクセスした利用者の携帯電話の機種を自動的に認識し、携帯画面の縦横の大きさや容量など機種に適した画像に自動変換して配信することによって、同一のコンテンツで国内約340・海外約200の機種に対応することができるようになりました。利用者も、機種を気にせずにネットオークションの掲載画像を携帯電話で見られるようになりました。

(5)金融業

2005/1/20ヤフーは、あおぞら銀行の全額出資子会社・あおぞら信託銀行を事実上買収し、インターネットバンキングなどに参入すると正式発表しました。2006年前半にも金融事業を開始し、ヤフーが展開しているネットオークション(競売)の資金決済などで「買い物と代金の支払いが一度にできる」新サービスを提供する予定になっています。競争の激しいネットビジネスで優位に立つには個人との密着度を一段と高めることが必要と考え、ネット商取引拡大のために消費者の利便性を高められるネットバンキング業に自ら乗り出したもので、あおぞら信託銀行の買収によって、早期に事業を軌道に乗せるのが得策としています。あおぞら信託銀行は事実上、ネット専業に特化して、決済や預金受け入れなどとともに、顧客に対するローン提供などの新分野も手がけ収益機会を拡大する構えを見せています。ヤフーと連携して物販や、映画や音楽などの有料コンテンツの販売、ネット競売などで顧客に資金決済までのサービスを一貫して提供することによって、問題とされる顧客基盤を確保し拡大することを目論んでいます。急成長したネット企業による既存銀行の買収によって、金融分野の異業種連携が加速するものと見られています。(2005/1/21 日本経済新聞)。

(6)
プロ野球


2005
年に新発足した「ソフトバンク・ホークス」は、ヤフー・ジャパンの親会社筋のソフトバンクが保有するプロ野球ですが、ヤフーの事業と相乗効果を持ちえるものですので、ここに楽天と対比させながらご紹介します。

ソフトバンクは本拠地ヤフードーム(福岡市)の一塁側や三塁側、天井など30カ所にカメラを設置して「ネット中継」を始めています。グループのネット接続サービス「ヤフーBB」の会員向けには、ファン同士で自由に意見をやり取りできる「チャットルーム」を開設しています。また、選手の最新成績や相手チームの選手情報も即座に更新するなどの機能もあり、会員は30台のカメラを自由に切り替えられ高画質画像を見られる仕組みになっています。「通信と放送の融合」の形のインターネット放送の特質を活かしきった「ネット中継」で、しかも無料試聴できるのですから、楽天の「ネット中継」とは出足からファンの利用に格差が生ずるはずです。一般向けにもCS放送用の映像も無料で流しているのですが、画面を切り替えて画像を見ることができるのは「ヤフーBB」の会員の特典になっています。一般利用者と差をつけ入会を誘導することによって、「ヤフーBB」のプロモーションに役立てようとする狙いがあるように見えます。日本版「ネット御三家」の中でもヤフーが一歩抜きん出ていることの裏には、このような「本家IT企業」ソフトバンクの支援に与るところが大きいものと見ています。

6-1-2-3. ライブドア

スタートは19964月で、東大在学中の堀江貴文氏が設立した「オン・ザ・エッヂ」。日本がインターネット・ブームにわく中で、HP制作、広告システムの開発・運用などを手がけて売上高を伸ばしながら増資を繰り返して、2000/4にベンチャー企業向けの東証マザーズに7社目として上場しました。その後、さらに積極的な買収を行い2002/11に日本最大の無料プロバイダー「ライブドア」を買収し、社名もこれに変更しています。2004/3には中堅証券会社日本グローバル証券(現ライブドア証券)、ネット広告のバリュークリックジャパンを完全子会社化し、更に同年6月にプロ野球球団買収に名乗りを上げ、12月には会計ソフト大手の「弥生」を買収しました。

楽天と同様に、積極的買収で会計ソフトや証券会社などを傘下に収めてきたために、事業内容の総合性においては楽天及びヤフーと肩を並べているのですが、財務内容の面では「ご三家」の中では甚だしく見劣りがしています。現在までのところ、日本版「ネット御三家」の一翼を担ったのは、プロ野球再編劇やニッポン放送株買収問題でマスメディアを賑わした時だけと言われても仕方なさそうな状態にあります。やはり、総合ネット企業の原点であり中核たるべきポータル事業の基盤が脆弱で収益力が弱いことが致命的な要因となっているようです。

20059月期決算の第1四半期(2004/10-12)の連結決算で、売上高121億円のうち最も大きな比率を占めているのは、ライブドア証券や、電子マネー「ビットキャッシュ」などの金融サービスの売り上げで、特にライブドア証券の比率が高いイーファイナンス事業の約68億円。次いで、携帯電話向けのサイトの制作などで、携帯電話からオークションに参加するシステムなども構築するモバイルソリューション事業が約15億円。3番目はパソコンソフトの販売で約10億円。ネット上で物販やオークションなどのサービスを提供するポータルサイトを擁するネットメディア事業は僅か約7億円にすぎません。

ヤフーのネット銀行業への進出に対抗する形で、ライブドアは山口県の第二地方銀行・西京銀行と共同出資でネット専業銀行を設立すると発表しました(2005//1/24)。新銀行「西京ライブドア銀行」(仮称)でネット上での個人向け決済サービスや口―ンのほか、中小企業や個人事業主を対象とした融資業務などを始める予定です。ネット専業銀行が相次ぎ誕生する中で、ネット上での銀行業務への進出を模索していた西京銀行の意向と、自前の決済機能整備を検討していたライブドアの思惑が合致したために実現したものです。

日本経済新聞のインタビューで、「既存のネット銀行に対する優位性」を問われて堀江社長は、「ポータルサイトを持っているところだ。(ヤフーに対抗するには)ポータルサイトの集客力を付けなくてはだめだ」と答えています。相次ぐM&A(企業の合併・買収)によって企業収益の重点が都度変わって本業が何か分かり難くなっているライブドアですが、ポータルサイト強化から目を逸らせていないところは、「総合ネット企業の原点はポータル事業」の認識に基づくものと考えられます。また、堀江社長は2005/3/3日本外国特派員協会での講演で「ネット、メディア、金融のコングロマリット(複合企業体)を目指している」と話していますが、これは「通信と放送の融合」という大潮流を見越した上で、“インターネット革命”が進行しつつある「金融」業界をターゲットとして捉えた的確な経営指針であると考えられます。しかし、この実現のためには、利用者やビジネスパートナーの“心”の中に入り込んで支持を得るための“心のポータル(玄関)”を開くことが同社にとっての大きな課題なのではないかと思っています。

6-1-2-4. 新興上場ネット企業

新たに上場した新興インターネット企業には、それぞれの得意分野を意識した「専門店」志向を強めている傾向が見られます。ヤフーや楽天などの先行上場組が豊富な資金力をテコに「百貨店型」の多角化を進めているのとは対照的で、ネット市場そのものの急拡大が企業の成長を後押しした時期が終わって、インターネット企業にも淘汰の時代が訪れたということを示しているものと考えられます。

パソコンや家電などの価格比較サイトを運営するカカクコム社では、2003/10の上場以降、価格比較サイトの商品分野を増やす一方で、当日・格安のホテル料金が検索できる宿泊予約サイトの営業権を取得し、更に20051月には旅行記を集めたサイト「フオートラベル」運営会社を買収しました。消費者がどんな商品やサービスでも価格が比較できるという「価格対比専門店」的な発想でメニューを増やし、集客力を向上させようとしているのです。

楽天が500億円弱、ライブドアが約60億円それぞれ調達し、その多くを企業買収に充てて情報検索や、電子商取引、金融などの事業基盤を整えたのに対して、カカクコム社が上場時に調達できたのは8億円でした。しかも、検索やショッピング、旅行などの各分野では上位企業の寡占化が始まっており、後発組は限られた経営資源をどう活用するかが重要になっていたのです。

20046月に上場した健康食品ネット通販のケンコーコムは、より明確に得意分野に特化した経営方針を採っています。「余計な分野に投資せず、勝てる分野に集中する」方針で、美容や健康にこだわる30-40代前後の主婦や女性会社員などを主要顧客層と位置づけ、顧客ごとの嗜好に合わせた商品案内などによって需要を掌握しています。上場時の公募増資で調達した約10億円を中心に、「健康食品専門」通販の品揃え強化のための取扱商品の拡大や物流センターの拡充にあてています。

ゴルフダイジェスト・オンラインも「深耕戦略」が基本で、ゴルフ用品の販売からプレー予約、競技情報の提供などゴルフ関連需要をすべて取り込む一方で、ゴルファーに中高年や富裕層が多いことに着目し酒類なども取り扱い品目に追加しています。更に、ダイジェスト・オンラインはテニスサイト大手のスポーツバンガードに出資し、ネット通販向けの商品調達などでの業務提携を始めました。ゴルフとテニスでは用具メーカーが同じ場合が多いので、それぞれのサイトのネット通販で取り扱うウェアや用具などの仕入れや物流を共通化して、規模のメリットで商品調達費用を圧縮することもできますし、ポイントの連携、販促の共同展開や会員の相互紹介などによる相乗効果が期待されています。専門性の高いサイト同士で業務を効率化し、ヤフーや楽天などの総合サイトヘの対抗力を強めることを狙いとしています。

2005/2/23 &2005/3/9 日本経済新聞)

6-2..広告業界の変貌

広告ビジネスにも変化の波が押し寄せています。日本の広告費は2004年、アテネ五輪などを追い風に4年ぶり増加に転じましたが、ピークだった2000年に比べれば4%低い水準でここ数年は横ばい状況で成長鈍化が目立ちます。ところが、この間、インターネット広告は3倍に膨らみ、広告費でラジオを上回るメディアとして急成長してきました。

広告主である企業も、旧来の広告の費用対効果に一段と敏感になり始めました。テレビや雑誌などに多額の広告費を投じてきた化粧品業界でさえ、ネットが存在感を持ち始め、「集客力の高い仮想店街で商品を販売できれば広告は不要かもしれない」とさえ考え始められてきているのです。例えば、資生堂は子会社を通じて、スキンケア製品などの通販専用製品のインターネット販売に乗り出し、様々なポータル(玄関)サイトにネット広告を掲載し、自社の販売サイトヘ消費者を誘導したところ、20053月期の売上高は20億円と前年比2倍に膨らむ見通しを得るに至っています(2005/2/24 日本経済新聞)。

こうした変化に対応するために、在来の広告会社もテレビに代表されるマス広告一辺倒からの脱却を模索し始めています。在来の広告会社の大手・電通は資料請求や商品購入の実績に応じて料金が決まる成果報酬型広告のノウハウを獲得するために企業を買収してネット広告を推進する体制を整えています。成果報酬型広告とは、インターネット広告を見た

利用者が広告をクリックして広告主企業のサイトを訪問した数や、資料請求、商品購入場どの実績に応じて広告主が広告料金を支払うという形のもので、広告の費用対効果を重視する広告主の間で注目を集めている広告方法です。急速な成長が今後も見込まれるネット広告についての「ネットヘの対応を誤れば、大手といえども中抜きされかねない」という広告大手の危機感は深刻で、広告大手は難しいかじ取りを迫られているようです。

ネット広告が急伸長してきたのはネットの利用者が増えているのに加えて、ブロードバンド(高速大容量)通信の普及によって動画を多用した表現豊かな広告が可能になったところに大きな要因があります。このため、インターネット広告各社はブロードバンドをにらんだ動画などの複雑化する広告表現に対応するため、広告配信や効果測定システムの改良に取り組み、従来型のバナー広告と動画広告を一緒に配信しやすくしたり(サイバーコミュニケーションズ社)、ネット広告をテレビなど他媒体と組み合わせた場合も効果を測定できるようにしたり(ダブルクリック社:電通と連携)して、広告の費用対効果の改善に意を用いる広告主の要望に応えています。在来の大手広告・電通がストリーミング(逐次再生)配信のJストリーム社と提携して始めたインターネットでの動画広告強化の動きもブロードバンド通信の普及を視野に入れたものです。商品が登場する短編映画などの高品質な動画を活用した広告を立案・配信し、その広告効果も分析しようというのですから、高速インターネットによる広告に大きな可能性を感じながらもなお広告効果に確信を持てずにいる企業広告主のニーズに沿った事業展開であるように思えます。

検索のため入力したキーワードに応じて広告を表示する「検索広告」は、2000年にアメリカのグーグル社が始めたサービスで、2001年に同社を通年黒字に転換させたばかりでなく、ヤフーも2002年ごろに「検索広告」を収益の柱にすえることに成功しています。従来の固定的なバナー広告から「検索広告」に重点が移ってきたことは新興のインターネット広告業内での変貌振りを示すものですが、この「検索広告」にも広告効果を測定するシステムが開発され実用に供されています。例えば、ネット広告専業代理店のオプトが開発したシステムを用いれば、どの検索キーワードから自社サイトに何人が訪問し、最終的に資料請求や商品購入に至った人数などが分かります。

ちょうどライブドアがニッポン放送の株取得を発表したころ、昨年のインターネット広告の市場規模が1,800億円を超えて、ラジオを追い抜いたことが報道されたという事実に象徴されるように、実はテレビを中心とする放送業界の足元は、インターネットのブロードバンド化と家庭用ハードディスクレコーダーの普及によって大きく揺さぶられているのです。インターネット利用のピークも、午後7時から10時のテレビのゴールデンタイムに重なつてきており、消費者は映像をブロードバンドで自由気ままに視聴することを望んでいるのです。また、ハードディスクレコーダーを所有する家庭では、テレビ視聴時間の6割は再生録画を楽しんでおり、しかも多くの人はコマーシャルを飛ばして見ていないそうです。このことはスポンサー企業も気づき始めており、より広告効果が高いメディアを模索し始めています。インターネット広告の更なる普及によって、広告業界の変貌が一段と進展していくものと考えられます。

6-3. 旅行業界の変貌

インターネット経由で取引される消費者向け旅行市場が急拡大しています。経済産業省のまとめによると、2003年の「ネット旅行」市場は前年比79%増の4,740億円。重症急性呼吸器症候群(SARS・サーズ)の影響などで旅行市場全体が伸び悩むなかで急伸し、1998年からの5年間でほぼ60倍という拡大ぶりです。しかも、市場全体に占めるシェアはまだ3.4%で、今後の成長余地が大きく残されています(2004/8/18 日本経済新聞)。

旅行の条件に基づいて様々な情報検索が自由自在にできるのがもともとインターネットのお手の物だったところに、ブロードバンド(高速大容量)通信の普及が追い風となってこの市場急拡大がもたらされたわけです。ポータル(玄関)サイトなどを運営するヤフーや楽天などのネット系企業が進出してきているのはこのためで、もはやその取り組み方が「自社サイトへの集客増につながる旅行サービス」の域を脱して「総合旅行会社」としての地位を固めつつあるネット系企業もあります。これに対して、JTBや近畿日本ツーリストなど在来の旅行大手企業もネット販売を強化する一方で、航空会社やホテルが代理店を介さずに自社サイトでチケットや宿泊予約を手がけるケースも拡大し、旅行業界は大きく変貌しつつあります。

航空券もインターネットによって購入するパターンが主流になってきそうです。日本航空(JAL)でも2005年度には全チケット販売の半分以上をネット経由にする計画だそうです。もともと、ユーザーはチケットという「モノ」ではなくて、飛行機輸送サービスを受ける「権利」を買うのですからインターネット情流だけで商流が成立する余地が大きかったのですが、これを宿泊予約サービスと結びつけることによって、インターネット利用に拍車をかける算段です。航空会社のホームページで航空券を買った顧客が同時に旅行代理店各社の運営する宿泊予約サイトから国内の宿を検索・直接予約できるようになったからです(2004/11/6日本経済新聞)。

国際線航空券予約へのインターネットの活用の進展には、正規割引運賃を適用する航空会社直販型のサイトの他に、格安航空券も取り扱う様々な国際線航空券の販売サイトが登場し、自分でサイトを選んで手軽に予約できるようになったことが大きく寄与しています。ネット予約では、行き先や出発日などを基に検索して一覧表化しそれを料金の安い順に並べたり、出発日ごとの料金を表示したりするサービスや、宿泊先の予約状況や最新の料金を比較する機能を利用することもできます。24時間リアルタイムで残席を確認できる上、クレジットカードで支払い可能で、すべての手続きをサイト上で済ませられるサービスを提供するサイトもありますから、忙しい人でも夜中などに手続きできますし、旅行の直前予約にも強みを発揮します。また、「eチケット」が急速に普及してきています。「eチケット」とは従来使われている紙のチケットに印刷されている全ての情報が、指定座席番号まで含めて航空会社のコンピューターのデーターベースに入力されるエレクトロニック・チケット(電子航空券)という新しいタイプの航空券です。これによって「航空券売買」というビジネスプロセスから物流に依存する要素が全くなくなったことになります。

携帯電話で国内の宿泊施設の予約と料金の支払いができるサービスも開始されています。ヤフーでは、NTTドコモの位置情報サービス「iエリア」を活用し、利用者が居場所の近くのホテルを手軽に見つけられる機能も盛り込むなど利便性を高めて、携帯電話による宿泊予約で先行する楽天トラベルなどを追撃する姿勢を見せています(2004/11/9日本経済新聞)。利用者は携帯の画面上で地域や最寄り駅、宿泊予定日などの条件を入力して予約可能な施設を検索し、希望に合った施設を選んで予約する仕組みで、宿泊料金の決済は現地での支払いとクレジットカードによる事前決済を選択でき、予約内容の確認や変更、予約のキャンセルも携帯電話でできるのですから、国内の宿泊施設のサービスについての商流と金流が携帯電話情流によって簡便に成立するわけです。

遊園地など観光施設の前売りチケットは、既にコンビニエンスストアのマルチメディア端末で発売されていましたが、JTBは2000/10月からインターネット経由でホテルや旅館のフロントで発券するシステムを稼働させました。多くの観光客が、観光施設に出かける間際に前売り券を購入するケースが多いことに着目したもので、フロントに毅置する端末とJTBをインターネットで結び、市販のプリンターで前売り券を印刷.発行する仕組みです(2004/9/27日本経済新聞)。利便性向上を図って利用客の顧客満足度を高めるとともに、宿泊施設とJTB側には手数料収入増のビジネス機会がインターネットによってもたらされてということになります。

6-4..音楽・映像業界の変貌

ADSL(非対称デジタル加入者線)やケーブルテレビ(CATV)、光ファイバーなどのブロードバンド(高速大容量)通信の普及によって、従来は通信スピードの制約があってダウンロードに多大な時間を要していた音楽や映画などの大容量コンテンツをインターネット経由で楽しめる環境が整ってきました。これに伴って、コンテンツから記録・再生メディアに至るまでの音楽・映像の四流(商流、金流、物流、情流)の担い手とあり方が一変して音楽・映像業界が大きく変容していくものと考えられます。

6-4-1. インターネット音楽配信サービス

パソコンや携帯電話のインターネット接続機能を使って楽曲を販売するサービスを「インターネット音楽配信サービス」と総称します。このサービスでの世界最大手は米アップルコンピュータ。アップルは20034月、米国を皮切りにネット音楽配信を開始し、楽曲販売数は欧米13カ国で累計15千万曲を突破しました。パソコンで入手した音楽を転送して聞くことができる自社製のHD搭載携帯型音楽プレーヤー「アイポッド(iPod)」も大ヒットして販売台数が5百万台を超え、日本でも「iPod mini」を含めて約50万台と携帯型音楽プレーヤーでは国内シェア首位に立っているものと推定されています(2004/11/18日本経済新聞)。「iPod」というハードと楽曲というソフトの同時展開でサービスの相乗効果を高めて市場拡大をけん引してきたわけですが、これに伴って更に、マイクロソフトのウィンドウズに押されて退潮していた本業のパソコン事業も息を吹き返してマッキントッシュOSのパソコンのシェアまで復活の勢いを見せています。

携帯音楽プレーヤーといえば、ソニーの「ウォークマン」がその代名詞になっていました。カセットテープ(今ではカセットテープがMDに変わっています)に録音した音楽を、高音質で歩きながら聴くことができる画期的な商品であり、この商品の登場とともに「いつでも、どこでも」という新しい携帯音楽文化が生み出されたといっても過言ではありません。そんな「ウォークマン」を差し置いて「iPod」がヒットしているのは、インターネット全盛の時代の新たな音楽文化を、インターネット上に展開される「iチューンズ・ミュージックストア」サービスのもとに提案しているからに他ならないものと考えられます。これはネット上で楽曲を売買する仕組みであり、これを運営するのも、売買される楽曲の受け皿としての「iPod」を製造しているのもアップルコンピュータであるというところに。ソニーの携帯音楽プレーヤー業界における主導権失墜の原因があったのです。

一方、日本の音楽配信サービスは欧米に比べ遅れがちと指摘されてきました。レンタル店が普及しているほか、楽曲複製を制限するなどレコード会社の著作権管理が厳格で、販売価格も欧米に比べて高いことなどが背景にあることの他に、レコード各社としても、小売店に配慮して、CDの販売減を加速させかねないネット音楽配信の拡大には慎重な姿勢をとらざるを得ないからです。従って、「iチューンズ・ミュージックストア」では、日本の楽曲は購入できなかったのです。レコード会社との間で著作権の問題が解決されていなかったからです。このため、日本の楽曲を「iPod」で聞くには、従来どおりCDを購入し、それをパソコンで形式変換し、そのデータを「iPod」に移すという作業が必要でした。ネット上で音楽を販売しているサイトもあるのですが、「iチューンズ・ミュージックストア」に比べると価格も高く、それぞれ配信できる楽曲が特定のレコード会社のものに限られますので、一つのサイトですべてのレコード会社の楽曲の購入することはできません(2004/11現在)最大配信楽曲数はレーベルゲートのサイトMoraで約8万曲)。

米アップルコンピュータが20053月をメドに日本で、「iチューンズ・ミュージックストア」によるインターネット音楽配信サービスを開始すると報じられた時には(2004/11/18日本経済新聞)、音楽ファンや音楽業界の間に大きな反響を呼びました。邦楽を中心に国内最大級となる10万曲以上をそろえる構想ですから、実現すれば日本のインターネット音楽配信サービス・ビジネスに大きな弾みがつきますし、最大約15干曲保存可能な「iPod」が携帯型音楽プレーヤー市場を席巻することが予想されたからです。しかし、レコード各社との著作権をめぐる交渉が難航しているためか、2005/5/4現在正式にリリースされたという報道は未だになされていないようです2000/8日本でもサービス開始)

しかし、時代の流れは確実に楽曲のネット購入に向かっています。実際に、マイクロソフトもアップルに対抗して音楽配信事業に乗り出し、日本市場に参入してきています(2004/9/3&2004/10/13日本経済新聞)し、日本のポータル(玄関)サイト運営のエキサイトが2004/5に始めた「エキサイトミュージックストア」も規模が拡大して配信楽曲数が10万曲に達しようとしています(2005/1/1日本経済新聞)。エイベックス・グループ・ホールディングスは、配信先を自社の直販サイトや一部出資する音楽配信会社大手のレーベルゲートなどに限定するこれまでの慎重姿勢から転換し、アップルを含めた国内外の配信事業者向けに楽曲を積極的に提供し、CD販売に依存するレコード会社からの脱皮を目指しています。若者に影響力を持つアーチストを抱えるエイベックスの経営方針の変更は国内のネット配信の動きを加速する可能性があるものと見られています(2005/4/12日本経済新聞)。

現在のCDなどのパッケージ・メディアの「配送」を伴う楽曲販売ビジネスの主流が「配信」に置き換わり、それによって音楽産業が大きく変貌するものと考えられます。

6-4-2. 携帯電話向け音楽配信サービス

携帯電話によるフル楽曲配信は、同じインターネット音楽配信サービスですが、前述6-4-1のPCプラットフォームでの音楽配信サービスに対する対抗馬になるものと見られています。先行したのはKDDIで、2002/12から開始していた楽曲のサビの部分だけを着信音にできる「着うた」サービスの仕組みを利用した「着うたフル」サービスを2004/11からau携帯電話向けに開始して音楽をまるごと1曲聴けるようにしました。インターネットからデジタル化された音楽データを取り込むアップルの「iPod」などのデジタル音楽プレーヤーでは、一旦パソコンに取り込んでからプレーヤーに転送する必要がありますので、手間がかかるうえにパソコンが所在する特定の場所でしかダウンロードすることができません。ところが、携帯電話では、外出先で何時でもどこでもインターネットから直接ダウンロードして手軽に音楽を楽しむことができます。アップルやこれに追随したデジタル音楽プレーヤー・メーカー各社が脅威に感じているのはこの点です。

携帯電話向けの音楽配信サービス「着うたフル」は、200546日にはauの累計ダウンロード数が500万曲を突破するなど好調に推移しています。「着うたフル」では著作権の問題もクリアされていますから、日本の場合は携帯電話向けサービスの方が先行しているようです。また、第三世代携帯電話が商用化され、携帯電話が多機能な「ケータイ」に変わった現在、“音楽鑑賞専用”(*)のデジタル音楽プレーヤーを別に持ち歩くよりも、“音楽鑑賞もできる”端末を1台持ち歩く方が簡便であることも普及を進める要因になっているものと思われます。しかし、ダウンロード(入手)と聴取(体験)が一体化しているところに携帯電話の利便性があるわけですが、一方のPC向けサービスの場合にはこの二つが分離しているからこそ、多くの楽曲がCDに保存できて、より柔軟性の高い使い方ができるという側面があります。それぞれの特質に応じた棲み分けがなされていくものと考えられます。

(*) ボイスレコーディング機能などの機能も搭載した製品もありますが、「ケータイ」の多機能性に比べると副次的機能ですので敢えて“専用”と表現しました。

6-4-3. インターネット映像配信サービス

音楽配信に続いて今後普及しそうなのが映画やアニメなどの映像配信サービスで、通信会社やネット接続会社、ケーブルテレビ(CATV)会社などがサービスに乗り出しています。

韓国ドラマ「冬のソナタ」が大ヒットした2004年には、ポータルサイト最大手のヤフーなどが相次いで未公開の韓国ドラマなどを配信して多くの女性ファンをつかんだという実績があります。海外ドラマだけでなく、新作ドラマを企画・配信する動きも出てきています。有線ブロードネットワークス(現USEN)が2004年に大手レコード会社のエイベックスに資本参加して、エイベックス所属アーチストのライブ映像の配信などに乗り出してきたのもその一例です(2005/1/1日本経済新聞)。

更に、新作映画を劇場公開と並行してインターネットで配信する事業が始められました。新作映画は、劇場以外では公開初日後半年程度でビデオ・DVD(デジタル多用途ディスク)ソフトの販売・貸し出しの形で見られるようになるのが通例でしたから、公開中の映画を自宅で見られるようになったのは画期的なことです。ソフトバンクグループが傘下におさめたブロードメディア・スタジオ社が、ポータル(玄関)サイトのヤフーや映画の注目作品を紹介するサイト「ヤフームービー」経由でネット配信するもので、これによって、普段忙しくて映画館まで足を運べない人や映画館自体が少ない地方に住む人も自宅にいながらにして新作映画を鑑賞し、しかも前売り映画館チケットと同額の試聴料金もネット上で決済することができるようになったのです(2005/1/12日本経済新聞)。

また、テレビの民放と同じように、コマーシャル入りですが、いつでも自分の好きな番組を見ることができるインターネット通信による無料の映像配信が本格的に始まっています。マイクロソフト日本法人が始めたポータル(玄関)サイト「MSN」からの「MSNビデオ」がこの例で、最新のニュースやスポーツのハイライトシーンを中心に、テレビ局などが製作した1本当たり2-5分ほどの映像を3,000番組以上配信しています。USEN(旧有線ブロードネットワークス)も、ブロードバンドを活用した会員制の映像配信サービス「GyaO(ギャオ)」で映画、音楽、ドラマの配信を始めました。いずれも、番組の冒頭または途中に広告が入っていて、「MSNビデオ」には自動車、航空、映画会社などが広告を出しています。「GyaO(ギャオ)」の方はバナー広告を画面の直ぐ横に配置して、コマーシャルを見て興味を持った人が商品のページを見られるように工夫しています。ブロードバンド通信の普及に伴ってインターネットで映像を見る人が増え、しかも、インターネットならではの商品の訴求ができますので、広告主が付きやすくなってきたという事情が背景にあるようです(2005/4/14日本経済新聞)。

一部のポータルサイトなどでは見たい映画や映像作品をネット上で選べる「ビデオ・オン・デマンド(VOD)」サービスを開始しています。今後、このようなインターネットならではという利点を活かしながら、テレビ放送やDVDなどと競合していくことになりますが、何より必要なのは魅力的なコンテンツの整備であると考えられます。家庭のパソコンに無料配信するブロードバンド放送「GyaO(ギャオ)」を開始して放送とブロードバンド通信の融合の先陣を切ったUSENが日活を買収する検討に入った(2005/4/22日本経済新聞)のも、日活が保有している約7干作品の映像資産を活用することによって映像のネット配信を強化することを狙ったものと考えられます。現時点でのコンテンツの品ぞろえはレンタルビデオ店には及ばないものの、作品数が増えれば映像「配信」サービス・ビジネスが大きく飛躍し、映像関連産業の構造が変わっていくものと考えられます。

6-5..金融業界の変貌

6-5-1. 銀行業界

インターネット回線を使って家庭やオフィスのパソコンで金融取引ができる、いわゆる「ネット金融」は、大手銀行が1990年代後半からサービスを開始し、ネット専業銀行も、2000年に開業したジャパンネット銀行を皮切りに現在では、イーバンク銀行、ソニー銀行を合わせた3行が展開しています。

深夜も取引が可能なネット銀行なら、これまで仕事で忙しくてなかなか営業時間中に銀行窓口に行けなかったサラリーマンでも24時間気軽に使えることと、ブロードバンド(高速大容量)サービスが普及してインターネットを利用するインフラ整備が進んで家庭でも手軽にネット金融が使えるようになったこととを背景として、インターネットを使った銀行サービスの利用者が増えてきました。

例えば、ネット銀行のソニー銀行を利用すると、パソコンに向って外貨預金取引に自ら関与して、刻々と変動する相場を見ながら外貨を取引することができます。深夜でも取引できる便利さがあるうえに、銀行の店頭より約1/4という割安な手数料で済ませることができます。ソニー銀行の個人の外貨預金残高は2005/3月末で前年比2.2倍の1,072億円で、地銀を上回り大手銀行に迫る規模になっています。

また、同じくネット銀行のイーバンク銀行は2003年秋に5年物定期預金の取り扱いを始めましが、店舗を持たず低コスト経営ができるネット専業の強みをいかして、金利を年0.7%と、他の銀行より約0.6%も高い水準に設定しました。これが功を奏して、イーバンクの2004/3月末の預金残高は半年前から77%も増えています。

ネット金融はもともとネット通販の決済手段として使われ始めており、大手銀行は最初は力をいれていなかったのですが、ネット専業銀行の専業銀行の健闘ぶりを見て、積極的に取り組み始めています。この結果、三井住友銀行では、数年前はほとんどなかったネット経由の外貨預金預かり件数が、最近は全体の5割に達しています。また、外貨預金に限らず、個人のネット銀行取引が急増していることもあって、UFJ銀行などでも、振込など個人のネット取引件数が前年比5-6割のペースで増えています。

自社のオフィスにいながらにして、高速インターネットまたは携帯電話で口座振込みなどの手続きを済ませられるネット金融の利便性が注目されて、企業による活用も増加してきています。特に、2004/4にネット専業のジャパンネット銀行が始めた取引明細書に「秒単位の時刻」を表示するサービスは、ネット通販業者から好評を得ています。顧客から代金が振り込まれた後、どれだけ早く商品を発送できるかが評価の分かれ目になっているからです。ネットオークションも含めたネット取引が拡大するのに伴って、これと相性のいいネット金融の規模が拡大していくものと見られます。

銀行側にも「消費者といつでもアクセスできる重要な営業手段」としてのネット金融の将来性に対する期待感が広まってきておりますし、企業側からの「ネット金融を利用した結果業務がローコストで楽にできるようになった」という顧客満足度を表す声も更なるネット金融の利用推進を後押しするものと考えられます。専業銀行と大手銀行入り乱れての「ネット金融」のサービス競争が激化していくなかで、ネット人口の増加に伴ってネット金融に重点をシフトしながら銀行業界の構造が変貌していくものと見られます。

2004/5/27&2004/5/28 日本経済新聞)

2000-2001年に開業したネット銀行の先行組は、三井住友系のジャパンネット銀行(JNB)と独立系のイーバンクがそれぞれ通期の経常黒字のメドが立ち、ようやく経営が軌道に乗ろうとしています。更に、JNBが三井住友グループのプロミスと組んで個人向けカードローンに進出、イーバンクもGEコンシューマー・クレジットと同じ分野で提携して、それぞれネット決済以外の収益源探しに乗り出しています。メガバンクが不良債権処理や合従連衡に揺れる中で、ネット銀行は急速に活躍の場を広げ、新たな主役の座を狙っています(2005/2/15 日本経済新聞)。急速な普及が予測される電子マネーに関しても、ネット専業のイーバンクが先手を打って、2005/1インターネットを通じて銀行口座から電子マネーの「エディ」にチャージできるサービスを始めて、大手銀行との「電子マネー争奪戦」で健闘を見せています(2005/2/17 日本経済新聞)。


6-5-1. 証券業界

上場しているインターネット専業証券大手4社(松井証券、イー・トレード、MBH、カブコム)の20053月期業績は、活況となった個人の株式売買などを背景にそろって純利益が過去最高を更新しました。この上場4社に未上場の楽天証券を加えてネット専業大手5社と称しますが、注目すべきは口座数の増加ぶりで、2005/3月末のネット専業5社の口座数合計が約178万となり、在来大手の野村証券のオンライン取引口座数である170万程度を初めて上回ったとみられるところです。口座数が最も多いイー・トレード証券では2004年度の月間の平均口座開設数は2万超で、合計口座数を60万近くまでに伸ばしています。

また、20053月期に、口座数の対前年度伸長率が、松井証券(88.1%)、イー・トレード(68.4%)、MBH(26.9%)、カブコム(66.2%)、楽天証券(54.o%)と軒並み高かった点も注目に値します。日本証券業協会は、2004年度上半期の個人の株式売買に占めるネット経由の比率が初めて8割を超えたと推定していますが、この個人投資家の資金のネット証券への流入が続いていてネット専業証券各社の口座数を押し上げたものと考えられます。株式売買に時間と場所を選ばないという利便性が人気を呼んでいるわけですが、「証券営業マンのセールストークに惑わされなくていい」というのも大きな理由になっているようです。パソコン画面に表示される情報やデータを冷静に判断して売買できるのもネット証券の魅力になっています。

日経が行ったアンケート調査でも64%が最も頻繁に売買する方法として「インターネット」と答えています。しかし、手数料が大手の1-2割の水準で情報サービスも充実しているのが強みになっているネット専業証券に対して、大手のネット証券の利用者も依然として多く、最もよく使うネット口座として「野村」、次いで「大和」の名前が挙げられ、ネット取引専業証券のイー・トレード証券を凌いでいます。特に、中高年の利用者は、ネット取引と併せて店舗を構えて店頭での対面営業を行っていることに対して安心感を覚えて、馴染みの大手証券で開いたネット口座で売買しているものと見られています。今後、ネット取引専業証券に対する信頼度が高まるとともに、ネット人口の増加に伴って株取引未経験者による売買が増加すれば、個人投資家の資金の流入はネット専業証券の方にシフトしてくるものと考えられます。

2005/1/1,2005/2/6&2005/4/27 日本経済新聞)

株式売買手数料は1999年の完全自由化以降、松井証券などネット証券の主導で値下げ競争が加速し、これによって、個人の株式取引の約8(売買代金ベース)をネット取引が占めるにいたっているのです。一方、新規公開企業の株式引き受けでは大手の優勢が続き、ネット証券のシェアは金額ベースで1割にも達していません。しかし、インターネット専業大手の松井証券が打ち出した、株式の新規公開ビジネスで企業から受け取る販売手数料を実質ゼロにするという方策は。ネット証券の法人取引での顧客開拓に向けての動きとして注目されています。新規上場ビジネスの手数料は主幹事証券が受け取る「幹事手数料」、各引受証券が受け取る「引受手数料」、投資家に販売する証券会社が受け取る「販売手数料」で構成されますが、手数料総額は一般に公募・売り出し金額の5.8%程度と言われています。証券会社にとっては採算のよいビジネスなのですが、企業側の負担は重いものとなっています。多くの営業担当者を抱える大手証券などに比べ、ネット専業の松井は人件費などの販売コストが低くて済みますから、その分、手数料の引き下げ余地も大きいわけです。企業との取引機会が増えると個人投資家に人気が高い新規公開株の引き受けシェアも高まるとみられ、個人向けビジネスの拡大にもつながると判断して、販売手数料の無料化に踏み切った松井証券が、再びローコスト経営のメリットを活かして新規上場ビジネス市場に新しい競争の仕組みを作ることができれば、個人の株式取引市場の場合と同じように法人市場へのネット証券の進出が促進されるものと考えられます。

2005/3/24  日本経済新聞)

<こぼれ話>

“TT企業”の「胡散臭さ」

本稿を書いて(2005/5)から現在(2006/4)まで、まだ1年も経っていないのに、ライブドア・堀江貴文“社長”は、“前”ライブドア社長で堀江“被告”と呼ばれる身になってしまいました。ご存知の通り、株価操作のために粉飾決算をして証券取引法違反の罪を問われているからです。

本稿では「財務内容の面では“ご三家”の中では甚だしく見劣りがしていて」、「“日本版ネット御三家”の一翼を担ったのは、プロ野球再編劇やニッポン放送株買収問題でマスメディアを賑わした時だけ」であり、「ポータル事業の基盤が脆弱」で「(メインは)金融サービスの売り上げ」として、ライブドアの“TT企業”としての「胡散臭さ」を指摘していました。

しかし、大方のマスメディアは、“前”ライブドア社長を“TT時代の寵児”ともてはやし、ホリエモンはテレビのバラエティ番組に出演するばかりでなく、政界進出を目指して9・11衆議院選挙に出馬するほどの勢いでした。そして、その選挙の応援演説で自民党の武部幹事長は「我が弟よ、息子よ」とホリエモンを持ち上げ、竹中平蔵大臣は「小泉さんとホリエモンさんと私と三人で小さな政府を目ざします。構造改革を実現します」というガセネタを叫んで国民を惑わせたのです。自民党の幹部は、ライブドアの「胡散臭さ」に気がつかなかったのでしょうか。ホリエモンと自民党幹部の間の「胡散臭さ」を感ずるあまりガセネタメールに振回されてしまった民主党関係者もお粗末でした。

いずれにしても、株式の上場が廃止になってしまったのですから、ライブドアとその株主は大ピンチに陥ったわけですが、そんな際に大きなリスクを犯して、フジテレビの保有するライブドア株を買い取ったのがUSENの宇野社長でした。同時にライブドアと資本・業務提携することを発表したUSENは、1961年創業の大阪有線放送社が前身で、繁華街にある飲食店に演歌などの音楽放送を提供する有線放送会社でした。それが、光ファイバーによるブロードバンド通信事業に進出するのに伴って、2000/4有線ブロードネットワークスに社名を変更、更に、2005/3USENに社名変更しています。

本稿でも触れていますが、USENは無料のインターネット動画配信事業「Gyao」を2005/2スタートさせており、2006/3/22現在、視聴登録者数が833万人に達しています。性別や生年月を事前に登録すれば、登録者はどれだけ番組を見ても課金されないというところが受けているようです。民放テレビと同じ広告収入だけで成り立っているわけですが、10-15分に1度程度の割合で、登録者の年齢や職業などにマッチしたコマーシャル映像が流れる仕組みになっていますので、広告効率を求める広告主からも歓迎されているようです。

ライブドア事件以来、“TT企業”に対して「胡散臭さ」を感ずる向きが多くなりましたが、USENはどうなのでしょうか。有線放送というオールド・メディアの出自ですが、これはCATVから高速インターネット事業に進出したケーブルテレビ会社と同じですし、「通信と放送の融合」という観点で時流に乗ったものだということができます。また、インターネット動画配信事業「Gyao」は、第5課で触れた「インターネット広告」の新しい形として先鞭をつけたものとして評価することができると思います。問題は、資本・業務提携が、ライブドアとUSENの両社に相乗効果をもたらすかどうかにかかっているように思えます。1年後にどのような評価ができるのか、成り行きを見守っていくことにしませんか。

(Ver.1 2006/ 7/16)

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