インターネット・ビジネス論

第10課 インターネットビジネスの諸相
      (情報の内部共有化・共用化)

10-1.巨大なデータベース

インターネットは、全体としてみると、世界中に張りめぐらされた蜘蛛の巣の上に分散された巨大なデータベースであると考えることができます。「インターネット上にないデータはない」と言われているくらいですから、インターネットという巨大なデータの海を“サーフィン”しながらデータを検索することによって情報(意思決定のために必要な知識)が得られるようになっただけで、企業(B:Business)の社員(E:Employee)の業務効率・生産性は、書籍ないし属人情報依存一辺倒であったインターネット前史時代とは比べようもないほど高くなっていることは間違いありません。但し、このようなE(社員)個人による“情報”武装は必ずしもB(企業)の情報リテラシー向上につながるとは限りません。E(社員)同士が、データ、情報またはナレッジ(Knowledge)を交換・共有して連携できるような業務プロセスとITシステムが整備されなければ、組織としての情報リテラシーは向上せず、経営革新を実現することができないからです。

10-2.「情報の共有化」の側面

第8課と第9課で考察した「インターネット・コマース」は、インターネット上でB to CまたはB to Bの直接商流を成立させるものでしたが、この背後にもB(企業:Business)内部のE(社員)間での情報共有が不可欠の前提としてあります。また、インターネット上での直接商流とまではいかないまでも、インターネットを利用したデータベース・マーケティング等によるビジネスも革新的業務プロセスづくりのためのキーツールとしてインターネットを機軸とした情報技術(IT)を利用したビジネス」に該当しますので、当然「インターネット・ビジネス論」の考察対象となります。その他、さまざまな形で、データ、情報またはナレッジ(Knowledge)の共有のために「インターネットを利用したビジネス」がありますので、この第10課ではインターネットによる「情報の共有化」の側面に焦点を合わせて考察を行うことにします。但し、企業(企業グループ)内での情報の共有化が主要課題となりますので、主役はインターネットの技術を利用して構築される企業(企業グループ)内情報通信網である「イントラネット(エクストラネット)」になります。また、ここで「情報の共有化」という場合の「情報」には「データ」および「ナレッジ(Knowledge)」を含むものとします。
イントラネット

インターネットが世界中の人を対象としているのに対して、イントラネットは、セキュリティーが命で、企業内の人だけを対象として、次のような用途に用いられている。

・社員を対象に情報提供を行なう

・社内の基幹系システムのトランザクションの伝送に使う

 ・グループウェアと一体化し、情報共有、スケジュール管理などに使用する

 ・ワークフローや電子決済で使用する

エクストラネット

イントラネットと異なり、社外にまでネットワークが広がる。しかしインターネットとも異なり、例えば製造業のメーカーであれば部品の供給会社などの関係が極めて綿密なごく限られたところだけを対象とするところに特徴がある。従って、エクストラネットについてもセキュリティーが非常に重要である。

この場合、エクストラネットを通して交換するメッセージは企業間の電子商取引(B to B)の注文であったり、SCM(Supply Chain Management)にかかわる情報のやり取りであったり、あるいは新商品を開発する場合の部品メーカーとの間での知識や技術の共用であったりする。

10-3.インターネット/イントラネットと
グループウェアの連携

各個人や各部署(特定の組織単位:グループ)が持っている情報やノウハウ、アイデアなどを共有資産として連携作業のために用いるためのミドルウェアを総称して「グループウェア」と言いますが、これをインターネット/イントラネットと連携させると、情報を全社的な資産として活用できますのでB(企業)の業務効率・生産性を大幅に高めることができます。例えば、「グループウェア」のうち最も基本的な機能は、円滑なコミュニケーションに欠かせないツールとしての電子メール機能ですが、これをインターネット/イントラネットと連携させれば、他の事業場(組織単位)のE(社員)も含めたn対n型の“E to Eネットワーク”を作ることができ、関係のあるE(社員)同士での電子メールの受発信によって、自在に情報の共有化と共用化をすることができ、組織単位(グループ)内のみならず事業場間の連携を強化することができます。電子メール/インターネット(イントラネット)によれば、会議の開催通知や議事録送付などの情報発信も、文書送付・回覧による方法に比べて遥かにローコストでスピーディーかつ確実に行うことができますし、組織単位(グループ)内外のE(社員)からのフィードバック情報を得やすくなります。その他、各種連絡事項について『知りませんでした』が通用しなくなること、都合で会議に出席できない場合に事前にメールで意見を参加者に伝えておくことができること等々情報共有の上での利点には枚挙の暇がありません。

「グループウェア」の諸機能

「グループウェア」には、電子メール機能の他に、グループ内のE(社員)間で、分散していたアイデアやノウハウなどをデータベース化して共有・統合管理する文書共有機能音声や画像などのマルチメディアを利用して打ち合わせや特定のテーマについての共同作業を行なうための電子会議(チャット)機能スケジュールを共有するスケジューラー機能リアルタイムな打ち合わせに利用されるテレビ会議機能、複数のメンバーで回覧される稟議・決済・申請書などの文書を電子化して流通させるワークフロー管理機能、グループ全体に規事業のアイデア募集広報を行なう電子掲示板機能などの機能があり、「グループウェア」自体に情報共有化による生産性向上の効能があります。これがまた、インターネット/イントラネットと連携すれば、それぞれの機能にグループ外からWeb情報を取り込んで業務に活用することも可能ですし、必要に応じて、グループ外のE(社員)に情報を発信することもできますので、情報共有効果を一段と拡大することができます

先行的な「グループウェア」ユーザー・リコー

例えば、先行的な「グループウェア」ユーザーであったリコーでも、当初は直接顧客と折衝する対大手企業販売部門のセールスマンの日報だけを、「顧客の生の声」を伝える「情報カード」と銘打ってグループウェア上で公開していたのですが、現在ではインターネット経由で一般顧客や取引先からの情報を「情報カード」に取り入れています。このグループウェア上の「情報カード」情報がまたイントラネット(エクストラネット)経由で、商品企画・開発部門、生産部門(仕入先)などのE(社員)によって情報が共有されますので、顧客の動向や意向を反映した「マーケット・イン」の経営思想に基づく諸活動が、諸部門の有機的な連携のもとに展開できるわけです。

電子掲示板によるノウハウ共用化

電子掲示板を、日常の業務連絡ばかりでなく、製品・サービスに関する提案書作成上のポイントや顧客の導入事例などのノウハウを社内に提供し共用化するためのツールとして利用している企業もあります。販売成功事例、提案内容、見積書、システム構成などの具体例を電子掲示板に開示しておけば、他の営業担当者はその情報を参考にして自分の販売業務やシステム開発を行うことができ、更にこれによって生じた販売成功事例が電子掲示板で紹介されれば、共有・共用できる情報の価値はまた一段と高いものになって行きます。電子掲示板情報は、情報の編集・加工が容易な上、インターネット/イントラネットを経由してそのまま他の部署のE(社員)に伝送することができ、受信した情報は画面上で再編集・再加工することができますので、在来のファクシミリや文書コピーに配布などの方法より遥かに効率的で有効な情報の共有と共用を実現することが可能になります。

<こぼれ話>
敵は本能寺にあり

私が所属していたのは、サーバー・コンピューターやネットワークのプラットフォーム(ハードウェアとソフトウェア)の供給にあたるPP(Product Provision)事業部でした。同じ情報通信事業本部には、プラットフォームを取り込んで顧客にITソリューションを提供するSI(System Integration)事業部が金融業、製造業、官公庁など顧客の業界別に編成されていました。ですから、PP事業部と複数あるSI事業部はサプライチェーンで直接つながる関係にあったのですが、どこの会社にもありがちな相互不信関係に陥っていました。そんな時、PP事業部の経営会議運営担当の任務に当たった私は、毎週行われる経営会議の議事録を社内広報用として用い、相互不信感の払拭に役立てたいと思い立ちました。従来は、技術的な専門用語の羅列で「分かりにくい」と評されていた議事録は、私自身が十分咀嚼したうえで必要に応じて解説を加えて、他部門の非技術者系幹部からも理解を得やすいものにしました。また、「何を考えているのか分からない」と酷評されていた我がPP事業部の経営方針についても、折に触れて分かりやすく説明し、特に後工程(SI事業部)や顧客に配慮した施策や姿勢については精一杯のPRに努めました。「敵は本能寺にあり」であり、本来の議事録の配布先より、SI事業部その他の関連事業部門を意識した議事録作成であったといっても過言ではありません。この議事録の広報効果はすぐに現れ、SI事業部ばかりでなく、関連の工場などからも「PP事業部の経営方針が良く分かるようになった」という評価が相次いで寄せられるようになりました。更に、進行中の新製品商品企画について、議事録読者から仕様や知的所有権などの観点から改善提案などのフィードバック情報を得ることができたのは予期もしていなかったところでした。これもそれも、
イントラネットを使ったメールのお陰で、従来のようなペーパー・ベースの議事録では、こうはうまくいかなかったことでしょう。コピーして配布しなければなりませんから、技術的な専門用語の羅列でページ数を「圧縮」しなければなりませんし、コピー配布先も制限されますから回覧にせざるを得ず関係当事者の目に触れたときには「古新聞」になってしまっている可能性が大有りですので、タイムリーなフィードバック情報の入手など期待薄だったのではないかと思います。

10-4.POS(Point Of Sales)システム

価格が高くて購買頻度が低い耐久消費財ビジネスには、一人一人の顧客の心を掴み、好機に商品提案をタイミング良く行うOne to Oneマーケティングが重要です。これは、優秀な自動車セールスマンのお客様への関心がずば抜けて高いという古来の事実をみても明らかです。一方、価格が低くて購買頻度が高い日用消費財のビジネスには、POSシステムによる商品(在庫)管理と需要予測を中心に販促を図るのが有効です。

POSシステムによって収集したデータをインターネット経由で集結して、買い上げ「顧客群」の年齢、性別や購買履歴を把握・分析することによって、販促上重要な情報を得ることができます。このように、
POS(Point Of Sales)システムは、ポータブル化・ワイヤレス化して接客しながら入力する方向に進化するとともに、インターネット接続により、従来の商品(在庫)管理のためのツールからマーケティング情報収集ツールとしての機能を強めてきており、特に日用消費財中心の最寄品ビジネスの必須アイテムになりつつあります。


POS情報によるCPFR

商業におけるIT化が進展するのに伴って、従来は川上から川下への情報流通が大半を占めていたのに対して、川下から川上に流れる情報量が劇的に増加しました。POSによって、川下の小売業者に情報が集まるようになったからです。このPOSデータの活用をめぐって、CPRF(Collaborative Planning Forecasting Replenishment)という概念が生成されています。製造と販売が協力(Collaborative)しながら、ビジネスや商品販売計画を立案 (Planning)し、商品別販売予測 (Forecasting)を調整し合い、商品の補充 (Replenishment)を行なうことです。

予測情報をインターネットで共有

「今まで、どの商品がどの店でどれだけ売れたか」という過去の販売情報はPOSデータによって内部的に共有することができ、このデータを共用することによって大まかな販売予測を立てることは可能でした。しかし、製造者側が「これからどれだけ販売できるのか」という未来の予測情報を得るためには、販売者側の特売計画、店舗(陳列スペース)の新設・閉鎖計画、商品切り替え計画や、店舗所在地地域におけるイベント情報などを計算に入れることが重要です。従って、CPRFは、POSデータを企業の内部で共有・共用するところから一歩抜けて、企業グループの内部で共有・共用して企業間コラボレーションを高めるためのコンセプトであり、これによって未来情報である需要・販売・発注予測をインターネットで共有し、消費者需要に適合した商品補充を協働で行なうことができるようになりました。


先進的なPOS導入事例

入力結果を分析するツールも充実してきており、
年齢、性別以外のカード情報等の分析・活用も可能になっていますので、販売現場でのデータ収集能力では出色のPOSの役割は一層重要化してきています。以下にPOSシステム導入に関する報道事例をご紹介します。
出版60社・500書店、書籍の在庫・販売情報をインターネット上で共有する新システムを構築。ストアコンソシアムジャパンとセイコーエプソン、CSKが運営。POS端末を店に配備。端末設置店はポイントカードを導入し顧客を組織化する。
(2002/5/21 日本経済新聞)
ダン。国内7工場と約200の販売店をオンラインで直結、5千種にも及ぶ靴下の売れ筋を瞬時に把握。工場は好調な商品を翌日に補充、不調なら生産を即刻停止。売上は10年で倍増。在庫は業界平均の1/10...
(2002/4/13 日本経済新聞)
メリーチョコレート。独自開発したPOSシステム、購入の時間帯、商品、単価、性別、大まかな年齢など細かな顧客の属性情報を店員が入力。 過去6年間に蓄積したデータに基づき最適商品を送りこみ、返品率が0.19%...
(2001/7/4 日経産業新聞)
資生堂、カネボウの2社、相次ぎ小売店にPOS配布。1台あたり月数万円のリース料を肩代わりすることで、つながりを強めて囲い込みを進め、ライバル製品の“追い出し”をねらう...
(2002/6/24 日本経済新聞)
ウェブベース(大阪府)は「WEBPOS」を開発。日立は系列家電店の支援にインターネットPOSを導入。最大手の東芝テックはチェーン店を対象にPOSをインターネットで構築...
(2001/1/16 日経流通新聞)
酒類専門店チェーン「やまや」では、商品情報管理のEDI(電子データ交換)化を進めてきましたが、2004/3期に全店に新POSレジを導入することによって右図のような販売時点情報管理(POS)システムを導入し全体システムの枠組みを完成させています(2003/4/11 日本経済新聞)。このPOSシステムでは、商品がレジを通ると同時に販売情報が各店舗のコンピューターに蓄積され、欠品が予想される商品が自動的に発注されます。従来のシステムでは販売・在庫状況を一日ごとに集計しており、商品の発注も店長が判断していたのですが、売り上げ管理をきめ細かくすることによって欠品や過剰在庫が減り、販売機会の損失を防ぐとともに店頭の商品の回転率を高めることができたわけです。また、自動受発注などによって事務量が減る分は、従業員による顧客サービス充実に充てることができます。各店舗の販売状況情報はインターネットで共有されますから、店舗間の競争が促されるとともに、全体としての売れ筋・死に筋商品に関する情報が全社で共有できることになったわけです。
主にバーコードからのデータの読み取りと活用に用いられてきたPOSシステムを、バーコードより遥かに情報量が多いICカードに対応させることによって、POSシステムの用途をマーケティング情報の収集・活用から販売促進のための実際的な販促手段にまで広げようとする動きも現れてきました。以下の新聞記事は、このような動きを代表するものと考えられます。
POS ICカード対応 三越、ポイントを蓄積

三越は50億円を投じ、接触型ICカードに対応したPOS(販売時点情報管理)システムを導入する。全国展開する大手百貨店でICカード対応のPOSシステムは初めて。ICカード普及をにらんだシステムの入れ替えが加速しそうだ。新しいPOSは、東京都が設立して来年4月にも営業を始める新銀行東京が、口座保有者向けに利用額などに応じて提供するとみられるICキャッシュカードのポイントサービスに対応した機能設定とした。同行でためたポイントを使い、三越で買い物できるなどの利用を見込む。

POS刷新を機に、友の会の買い物券を来年3月以降の満期分からICカードに切り替える。現在はプリペイドカードで、毎月一定額を支払うと1年後にボーナス分を含め13カ月分の買い物券を提供している。友の会の買い物券を電子マネーに切り替えるのは百貨店で三越が初めて。

レジ端末は据え置き型を3,000台、ハンディ型を400台導入する。ハンディ型は無線LAN(構内情報通信網)を使い、カード決済を買い物客の目の前で手早く処理できるようにした。従来はカードを預かり奥のレジで処理していた。

販売情報の管理も改め、従来は3枚複写の販売伝票(年間180万枚)や、ジャーナル(紙ロール、年間140万巻)に記録していた情報をディスクに記憶させるようにする。紙類を節約して環境対策につなげると同時に会計監査などに迅速に対応する。
(2004/9/3   日本経済新聞)

10-5.データベース・マーケティング

企業(B)としてデータを体系的に集中管理し、社員(E)が共有・共用できるようにするためにはデータベースの構築が必要になります。「データベース・マーケティング」は、多数の顧客に同一の内容を発信する「マス・マーケティング」と違って、データベースに蓄積した顧客の個別の属性や購買履歴データをもとにターゲットを絞り込み、差異化したサービスを提供して優良顧客の固定化を図るマーケティング手法で、これを実現するためには「いつ、だれが、どこで、何を買ったか」といった生データを蓄積できるデータベースと、顧客の詳細な属性を蓄積するデータベースが必要になります。これらをもとにマーケターが仮説を立て、販促キャンペーンなどを実行し、さらにこの結果をもとに仮説を検証し仮説の精度を高めていったり、One to One マーケティングによって「個客」を獲得したりすることができるようになります。

データウェアハウス(DWH:Data WareHouse)

データベースは計算機科学史上の中心的なテーマでもあったのですが、最も大きな転換点はデータを2次元の表形式で表現するリレーショナルデータベース(RDB:Relational Data Base)であったと言われ、これを管理するためのソフトウェアRDBM(Relational Data Base Management)が最も広く商用されています。更に、企業の基幹業務がほとんどシステム化され、日々おびただしい量のデータが蓄積されるようになるに至って、ナマ情報を経営戦略に有効に活用することが企業の競争力を優位に保つ上で非常に重要になってきました。そこで開発されたインフラがデータウェアハウス(DWH:Data WareHouse)とデータマート(DM:Data Mart)です。データウェアハウスは文字通り、「データの倉庫(warehouse)」のことであり、販売、在庫、生産、経理など企業の各部分で発生するデータを全社的な視点から整理し活用しやすいものにデータベース化したものであり、データマートはこれを更に部門・用途別に利用しやすいように切り分けたものです。

データウェアハウス/情報系システム

しかし、データ・ウェアハウスは、基幹系システム(企業が生産・販売・財務などの本来の業務を遂行する人達の活動を支援する情報システム)が処理した顧客の自社製品の購入データを、長期にわたって積み上げた情報系システム専用の一種のデータベースに過ぎません。当然のことながら、データをデータベースに格納しただけでは事業収益を拡大することができず、このデータを以下のような情報系システムによって経営戦略に有効に活用することが不可欠の条件になります。

  ・データベース・マーケティング
  ・CRM(Customer Relation Management)
  ・SFA(Sales Force Automation)
  ・データ・マイニング
  ・OLAP(On-Line Analyzing Processing)

データウェアハウスの解析手法

ですから、データを倉庫に蓄えることができただけではまだ道のりの半ばにも達したとはいえないわけです。先ずはデータに分析加工を加えて「意味合い」を見出さなければ「意思決定に必要な知識」即ち「情報」にならないからです。そのために以下のようなデータウェアハウスの解析手法が用いられています。

オンライン分析処理OLAP(サマリー型・分析型:On-line Analytical Processing)
顧客データベースや販売データベースを様々な角度から検索・集計して多次元的に解析し、問題点や解決策を発見、表現するシステム。サーバー側に多次元データベースを搭載し予めデータ・ウェアハウスから作成したサマリー(要約)情報を製品や地域などの次元に基づいて格納し、クライアントからの処理要求に合わせてデータを取り出す仕組み。ユーザーが直接解析を行なう。
データマイニング(生データ型・仮説検証/発見型 DMData Mining)
生データを解析し、その中に潜む項目間の相関関係やパターンなどを探し出す技術。潜在的な顧客ニーズを「鉱山から採掘(mining)」すること。
SQL(生データ型・分析型:Structured Query Language)
リレーショナルデータベース管理システム(RDBM:Relational Data Base Management System)操作言語の標準となっているもの。プログラム中に記述したり、対話型でデータ操作することができる。IBM社が開発。アメリカ規格協会(ANSI)やJISで標準化されている。

データ・マイニングが、予め得られると思われる結果を予想して作業を行なうものではないのに対して、「分析」は予め何らかの仮説を立てて、これが成立するかどうかをデータに基づいて検証するものです。分析作業は、膨大なデータと計算量を必要とし、データ処理効率が悪いコンピューターでは有用な結果を得るために長い時間がかかるので、長い間バッチ方式で処理がなされてきました。分析作業がオンラインで実施できるようになったのはコンピューターの進歩によるものであり、これによって、データ・ウェアハウスに蓄積されているデータが分析の対象とされ、企業の収益を増やすための情報が求められやすくなったのです。

10-6.データマイニング(DM:Data Mining)

「マイニング」とは「鉱業」を意味し、石ころや砂などほとんど無価値な物の中から金の鉱石や鉄鉱石など価値のある物を見つけ出すことを言う。これを受けて、データ・マイニングとは、膨大なデータの中に隠れた有用な相関関係を発見する手法を意味する。データ・ウェアハウスには顧客の購入実績が格納されているわけであるから、これをデータ・マイニングの対象とすることで、これまで気づかなかった顧客の購買時の動作や動機を把握することができる。そして、それが有用なものであれば、それを活用することによって売上を伸ばすことができる。

データマイニングの意義

「データマイニング(DM:Data Mining)」とは、「購買履歴などの顧客データ(Data)に、回帰分析、相関分析などの統計的解析を加えて、マーケティング上有益な法則性を見つけ出す(採掘する:Mining)こと」です。データベースに埋もれている膨大なデータの中から、ある相関関係を持ったものを選び出して抽出する機能ですから、「発見型データベース活用法」ということができます。

大規模データベースの山から眠っていた鉱石を掘り起こし(Mining)、全社的に共有・共用できる情報資源を産み出した典型的な事例といっていいでしょう。経験・勘・こつの3Kに依存しがちな営業の世界に、統計的解析などの科学という新しいKを導入すれば、共有・共用しやすい情報が入手でき、真の「マーケット・イン」を実現することが可能になります。

データマイニングの具体例


データマイニングでは、アメリカのウォルマートが行った統計的解析の事例が有名です。相関分析を行ったところ、「金曜日に紙おむつと缶ビールを一緒に買う男性が多い」ということが分かったのです。これによって得られた「紙おむつを買うよう頼まれた男性がついでに缶ビールを購入している」という仮説が実地に検証された結果、「紙おむつと缶ビールの並行陳列」という販売促進情報が全店舗で共有されることになり売上増進が実現できたのです。同じようにして、「コーンフレークなどのシリアル類の売り場にバナナを売る棚を置く」という販売促進策が導き出されました。データマイニングを行った結果、「朝食用にシリアルを購入する来店客は同時にバナナを買う例が多い」という仮説が得られこれを実地に検証することができたからです。紙おむつと缶ビール、シリアルとバナナ、それぞれ一見何の関係もなさそうなところに実は重大な相関関係があったのです。

テキストマイニング


数値情報から採掘するデータマイニングに加え、メール等のテキスト情報から顧客の嗜好や企業に対する要求、感情、イメージなどを採掘してさまざまな観点から分析し、新商品企画などに役立つ情報を取り出す技術「テキストマイニング」が登場、マイニングの巾が広がってきています。
キヤノン 故障情報をテキスト・マイニング データ分析効率が3倍に

キヤノンは2001年1月から、国内外にある60カ所の販社から集まる年間約60万件に達するプリンターなどの故障や返品に関する文書データを、効率良く分析できるようにする。 大量の文書を自動的に分類するテキスト・マイニングシステムにより、わずかな故障を見逃さず迅速な顧客対応や商品改良につなげ、品質管理を高めるのが狙い。投資額は1億円。

2000/11/24  日経情報ストラテジー)


10-7.ナレッジ・マネジメント(KM:Knowledge Management)

社員(E)の各人が現場で得た専門的な知識や現場で培ったノウハウなどこそ真の「活きた情報」と言えるのですが、その多くは各個人の頭の中や、机の中、手帳に個人資産として埋もれているケースが大半です。情報が社員(E)に「私蔵」または「死蔵」されており、企業(B)としての知的資産として活かされていないわけです。「ナレッジ・マネジメント(KM:Knowledge Management)とは、このような社員(E)が個々に持っている専門知識やノウハウ等を一元的に集約して企業(B)の価値ある知的資産(ナレッジ)として社員(E)間で共有・共用してゆく過程で、より価値の高いナレッジ・データベースにブラッシュアップして活用し戦略的経営を実現する手法です。

ナレッジ・マネジメント(KM)の意義

企業(B)の競争力の根源は社員(E)の資質であるといわれています。ナレッジマネジメントでは、ナレッジの浸透(共有・移転)、活用、創造、浸透の過程で、特に“ナレッジ・ワーカー”であるホワイトカラーの自己啓発と相互啓発による成長と自己実現を促すものですから、社員(E)の資質改善と労働生産性向上を実現し企業(B)の競争力強化に大きく寄与することになります。「ナレッジ(knowledge)」は、「情報」が「意思決定に必要な“知識”」であるのに対して、既に何らかの形で実用に移されている「知恵」または「ノウハウ」に近いものと考えても良いでしょう。売り上げ数字や予測数字のような事実に基づく「硬いデータ」の対極にあり、顧客や社員の“気づき”や“想い”といった「軟らかいノウハウ」の類まで含まれます。


ナレッジ・マネジメント(KM)台頭の背景

人材の流動化が進む中で、フラットな組織でスピーディーに効果の大きい業務を遂行するためにはE(社員)が多能化し少数精鋭化することが必須であり、「軟らかいノウハウ」の類を特定のE(社員)の個人的な知的資産(ナレッジ)としておくわけには行かなくなったのです。
また、情報技術(IT)の革新によって、「硬いデータ」と「軟らかいノウハウ」をコンピューターの中で統合し、これをインターネット/イントラネットによって、E(社員)間でナレッジを共有・活用することが容易になったという背景事情があり、意図的にナレッジの共有・活用を経営革新の手法として促進する動きが広まってきています。


在来のナレッジ・マネジメントとの対比

例えば、従来からある外食産業の接客マニュアルなども、ITこそ使っていませんが、ナレッジマネジメントの一例といってよいものだと思います。但し、これはB(企業)がE(社員)に対して供与するものであり、作成と定着に多大な時間とコストがかかる上に更新が難しいといった難点があり、時間・コスト・様式の制約が少なく、E(社員)の自主性に基づいて自在に行われるITネットワーク利用のナレッジマネジメントと大きく違うところです。インターネット/イントラネットベースのナレッジマネジメントでは、個人的に保管されていた営業報告書・提案書、物件情報、顧客情報、失注情報等がデータベースに登録されB(企業)の資産として共有・共有されるのですから、ナレッジ・データベースを介したn対n型の“E to Eネットワーク”が形成され、全社員(E)一丸となって社業を振興する基盤が整ったわけです。


<こぼれ話>大部屋システムと赤提灯

「ナレッジマネジメント」もルーツは日本であり、日本の製造業のあり方を抽象化して日本人がコンセプトを確立したものと言われています。 知識の共有化という原型は日本のグループワークやグループ活動にあり、もともと日本の企業には、ITに頼らなくても情報をシェアする仕組みがあり、これが日本の企業の長所であり強みだったのです。
しかし、アメリカの企業では、「ITによって情報や知識を共有化できる」という仕組みを作ってしまいました。情報を共有化するための手段としてITを駆使したのが企業の競争力向上に役立ったわけです。
現場で創意工夫した知識は、作業者が無意識のレベルで体得しています。そして、これを意識化し仲間が共有できるような形式に表現し、その知識をもとにそれぞれが活動しているうちに次のステップを創意工夫して新しい段階の無意識の知識を体得し、更にこれをみんなで共有できるように意識化していく…という循環を繰り返して知識が発展していきます。
実際に、CALS(生産・調達・運用支援統合情報システム)協議会会長によると、「これは日本人のビジネスシステムを真似て作ったものだ」そうです。日本には一人一人をパーティションで区切らず広い部屋に皆を集める「大部屋システム」があります。そこでは、誰が何をやっているのか相互に見える。一種の情報や知識のシェアのシステムなのですが、これをITでやるのがCALSの仕組みの一つだというわけです。これも、情報をシェアしていなかったアメリカ人が、ネットワークで情報をシェアする仕組みを作った一例です。
しかも、日本人は、大部屋で話すだけでなく、時間をかけて、しかも自分のお金で、赤提灯でも“ノミュニケーション”を行なって情報のシェアを行なっています。だから、いざ意思決定となると、短い時間で合意ができて効率的にできるわけです。
しかし、このような日本流の情報のシェアの仕方では対処できないほどの大きな変化の波が押し寄せてきたのです。例えば、企業の買収・合併が起こったりすると、「大部屋」の常連メンバーの一団が突如として居なくなったり、あるいはある朝見知らぬメンバーが「大部屋」の一角に座を占めるようなことになっていたりすることになるわけです。

10-7-1.経営を可視化するナレッジマネジメント

「ナレッジ」の学問的区分

学問的には「ナレッジ」を「暗黙知」と「形式知」に区分しています。「暗黙知」とは「社員(E)が経験を通じて学習した結果獲得した知識で表出化(文字等によるビジュアル化)されていないもの」を言い、「形式知」とは「暗黙知の表出化されたものであり、他人にとって利用可能な形を備えたもの」のことですから、「形式知」となってはじめて「企業(B)が共有する財産」になるわけです。「形式知」が言語化された明示的な知識であり、客観的・組織的かつ理性的・論理的なデジタル知であるのに対して、「暗黙知」は身体・五感を駆使して現場で得られる経験・勘・コツなど主観的・個人的かつ情緒的・情念的なアナログ知です。従って、「暗黙知」は「形式知」に比べると操作がしにくいのですが「形式知」を含めたナレッジの源泉でもありますので、豊かな「暗黙知」を如何に採り入れていけるかということがKM成功のカギを握っていると言われています。


形式知vs暗黙知

形式知が言葉や文章で表現できる客観的で理性的な知であるのに対して、暗黙知は、言葉や文章で表すことの難しい主観的で身体的な知で、具体的には、思い、視点、心象や、熟練、ノウハウなどがあげられます。主観的で身体的であるがために、暗黙知は、企業独自の価値を生み出す源泉となることは認められながらも、企業の知的「資産」として共有・共用することが難しいものとみなされてきました。


SECIサークル

しかし、ITの革新によって、以下のようなプロセスから構成される「SECIサークル」によって暗黙知と形式知のダイナミックな循環プロセスを採ることが容易になり、企業(B)「資産」としてのナレッジを創造していくことが可能になったのです。
S: 共同化(Socialization) 暗黙知→暗黙知
E: 表出化(Externalization) 暗黙知→形式知
C: 結合化(Combination)   形式知→形式知
I:  内面化(Internalization) 形式知→暗黙知
S:共同化(Socialization)

独自の高質の暗黙知を蓄積するためには、個人が経験を共有し他者と共感することによって暗黙知を獲得することが重要になります。従って、この「共同化」のプロセスは、身体・五感を駆使し、直接経験を通じて暗黙知を共有・創出するプロセスとなり、社内外の歩き回りによる暗黙知の獲得、暗黙知の蓄積・伝授・移転などを行います。各個人の経験が共有されるとともに各個人の暗黙知が拡大していくプロセスでもあるわけです。ある人の「知」がもう一人の「知」と「共有」されるということは、相互の「知」が相手の中に「入り込む」ことですから、参加者は同僚、部下、顧客、パートナーとのフェース・トゥ・フェースの時間・空間の共有、共感・共鳴・共棲を通じて、自己を超えて成長していくことができるのです。

E:表出化(Externalization)

「共同化」によって蓄積された暗黙知は、主に対話により明確な言語ないし概念として表現され、形式知になります。直接経験を共有していない第三者にも理解可能な言語・概念・図像・形態に暗黙知を変換していきます。これが「表出化」とよばれるプロセスで、個人に内在する暗黙知を個人の中にとどまらせずに共有し、客観化することによってさらに発展させていくために不可欠なプロセスになります。概念創造のための場となり、建設的対話やディスカッションが行われますので、ここでもITツールによる支援が有効性を発揮します。


C:結合化(Combination)

「表出化」によってグループ・レベルの集団知になった形式知は他の形式知と組み合わされ編集され、組織レベルの形式知に変換されます。これが「連結化」プロセスであり、新しい形式知の獲得と統合、形式知の伝達・普及、編集などを行います。典型的にイントラネットやグループウェアといった仮想空間における場で展開されるプロセスで、情報技術(IT)の効果的な使用により、コンセプトの組み合わせやデータからの意昧づけを効率的に行うことができ、電子メールによる情報・ドキュメントの移転・共有化などが多用されます。


I:内面化(Internalization)

こうして組織レベルで創造された形式知は、頭で理解した知を、行動を通じて個人の中に再び取り込むという「内面化」プロセスを経て再び暗黙知になります。自己の思いを言葉や製品といった形に具現化し、客観化することにより共有して異なる視点を総合する。そして、そのように創造された新しい知をもう一度自分のなかに主観的な知として取り込んでいくことになります。
この主観と客観の往還プロセスにより、個人の持つ暗黙知は質・量ともにさらに豊かなものになっていきます。そして、その暗黙知は次の知識創造のらせん運動に組み込まれていきます。知の創造とは絶えざる「自已超越プロセス」なのです。

ナレッジ・マネジメント(KM)のメリット

表出化、結合化、内面化の各プロセスでは、それぞれに知識の共有、創造、深化を通じて個人の自己実現を促進することができますから、参加者であるE(社員)の視点で捉えると、SECIのナレッジ創造プロセスは、継続的自己発展・自己超越・自己実現のプロセスであるということができます。そして、B(企業)としては、知識の共有・再利用による既知の問題解決の効率化(効率性の追求)と新たな知識創造による未知の問題解決の可能性向上(創造性の向上)を推進しながら経営革新を実現し、顧客満足度の極大化と経営コストの極小化の同時達成ができるのです。

10-7-2.ナレッジ提供者に対する
インセンティブ(報酬・表彰)

ナレッジ・データベースに収納されたE(社員)の個人的な成功事例は共有・共有され、他の案件に横展開されB(企業)の実績向上に寄与します。しかし、E(社員)個人としては折角自分で培ったノウハウなどは自分自身のB(企業)における存在意義にもかかわる問題にもなりえますので自らは公開したがらないものです。一方、失注・失敗事例も、他のE(社員)の失注・失敗の再発を防ぎますので、B(企業)の損失の未然回避に多大な貢献をもたらすものなのですが、少なくとも自尊心が傷つく結果になる可能性のある失注・失敗事例の公開にはなかなか踏み切れないものです。いずれにしても、ナレッジ提供者に対しては何らかのインセンティブ(報酬・表彰)が与えられなければナレッジマネジメントの具体的な進展は難しいのですが、後者については、ホンダで「ナレッジマネジメント」という言葉が生まれるよりずっと以前から実施していたという「失敗事例表彰制度」が参考になります。以下にナカノス社の事例をご紹介します。

ミツカン・グループ業務用食品メーカー・ナカノス社のインセンティブ事例

ミツカンのグループ会社で業務用食品メーカーであるナカノス社の場合は、“情報コンクール”と呼ぶ仕組みで有益な情報を出した人の評価が高まるように工夫しているのが特徴です。同社は、約250人の全営業担当者に対して、日報などの営業情報をグループウェアで共有する試みを1998年末からスタートさせています。日々入力される日報を支店や営業所の経験豊富な上司がチェックして「他の拠点でも役立つ」と判断した情報については、全社共有のデータベースに登録して公開し、提案力向上や業務改善に役立てています。情報コンクールは毎年2回、グループウェアに設ける投票コーナーで営業 担当者全員が「特に役に立った情報」を選んで投票し、沢山の投票を獲得した上位者に対しては賞金を渡すというインセンティブが用意されています。その他、投票結果を全て公開して、他の営業担当者に役立つ情報はどういうものかを各自が参考に出来るように配慮しているという特徴があります。

10-7-3.ナレッジマネジメント実施例

以下のようなナレッジマネジメント導入事例が報道されていますが、成文化された情報(例えばワープロ文書や表計算文書など)を共有する仕組みを作ってそれをナレッジとして活用できるように整備していこうとしているケースが大半を占めており、個人個人が持っている成文化されていないナレッジの共有化・共用化に成功したという事例はまだ少ないようです。
TSUTAYA、全1100店舗がそれぞれの経営改善に向けたヒントを絶えず提供し合える、ナレッジシェアリングを実現。販促策の成功事例等のナレッジを共有でき、店舗間のレベル統一が図れるようになった。
(2002/10/31 日本経済新聞)
ミルボン。グループウェア上のフォーラム「市場活動報告書」に営業マンが繁盛美容店の情報を書き込む。製品開発担当者が実際に店まで出向きその美容師が持つ技術・知識・ノウハウを平準化して製品として具現化を図る。
(2002/6/20 日本経済新聞)
IBM。社内の専門家が厳選した60以上の分野の模範事例は、社内向けのネットワークで公開、日々更新。社員は世界中の情報を参照し、再利用。世界中から知恵を集め、組み合わせて新たな価値を創造することが可能になった。
(2002/5/15 日本経済新聞)
日立。熟練技能のデータベース化を開始。「eーマイスター」活動はこれまで伝承されてきた「匠のワザ」を知的資産としてデジタルデータに落とし込み、新人や海外での現地教育に利用、グループにも公開していく。
(2001/11/7 日刊工業新聞)
川口市の老舗鋳物メーカー・永瀬留十郎工場は鋳物職人の熟練技能を次世代に残す「熟練技能伝承システム」の開発を進めている。埼玉大学、埼玉県工業技術センターとの産官学による研究プロジェクトチームを発足させた。
(2001/10/3 日本経済新聞)
大林組。イントラネット上で社員の質問に24時間以内に回答、それを公開・蓄積。 営業マンの技術提案や現場での問題解決へ積極的に活用。アイデアや思いつきをネットで公開する「研究者メモ」も開始した。
(2001/6/13 日刊工業新聞)
長距離・国際通信会社NTTコミュニケーションズは自分の得意技術や知識、資格などをPRする個別ホームページを、約7,000人の社員全員に作成させる。他の社員がそれを自由に見て、必要に応じて仕事の協力を求めたり、情報を入手したりできるようにする。通信業界は技術が複雑・多様化してきており、そうした技術の知識を持っている社内の人材を有効活用し、顧客のニーズに素早く対応できるようにする狙いだ。各社員は、検索専用ページからキーワードで各ホームページの検索ができるため、次世代インターネットIPv6に関する情報が欲しい場合は、「IPv6」と入力すれば、関連技術や知識を持つ社員のホームページにアクセスできる。
(2001/6/16 読売オンライン)
松下電産。社員の専門能力や技術をデータベース化して管理職が検索できる「社内データベース」を設置する。横断組織的なプロジェクトチームを発足する際に特定の能力を持った社員を全社から選んだり、技術や法律など専門的な問題を解決できる社員を探したり、海外からの急な来客で通訳などの「助っ人」を探し出したりすることが簡単にできるので事業運営を効率化できるうえに、グループ社員約10万人の知識を資産として活用することによって組織を活性化することができる。社員のPCから接続するイントラネットの情報サイトへの入力を活用し、人材を見つけた後もやはりイントラネットを使って電子メールで業務依頼をする仕組みになっている。松下では、同時に家電製品の商品企画にネット経由で全員参加できる専用のサイトを4月に開設する。消費者に対するマーケティング活動を補完し、すばやく意見を収集できる仕組みにして、商品開発や改良に生かす考えだ。
(2003/3/17 日本経済新聞)

10-7-4.ナレッジマネジメントと情報技術(IT)

ナレッジマネジメントを行ううえで今求められているのは、現在共有できている知識を、企業利益に貢献する形で活用できるところまで磨き上げて社員に提供する仕組みと、たとえばメールや掲示板などコラボレーション(協働:Collaboration)の中で時折表出される成文化されていない知識を吸収し、同様に活用していくための仕組みであると言われています。このような仕組みづくりのために、イントラネット・エクストラネットの他に、各種のグループウェア、検索エンジン、データウェアハウス、データマイニングツール、ドキュメントマネジメントなどの一般的なツールや技術を統合したナレッジマネジメントにフォーカスしたITツールが販売されています。

ナレッジマネジメント関連ツールのあり方

しかし、ナレッジマネジメント関連ツールは、EIP(企業情報ポータル:Enterprise Information Portal:企業内に散在するWebページやシステムを纏めて一つのWebページに集約したシステム)やSFA(Sales Force Automation)、CRM(Customer Relation Management)ツールなどと重なり合いながらそれぞれに発展を続けているものですから、ナレッジマネジメントの完成形というものはありえません。ナレッジマネジメントの理念をバックグラウンドにおきながら、企業の問題解決に必要なツールや技術だけ組み合わせて必要最小限度のコストでナレッジマネジメントを実現することも可能です。例えば、デジタル複合機により社内に分散している紙情報を電子化して蓄積し、検索エンジンを利用して目的に合わせてスピーディーに参照可能にすることは、かなり簡単に実現できるナレッジ活用法ですし、グループウェアを利用すればコラボレーションの中から生み出されるナレッジを捕捉することが可能になり、コラボレーションそのものがナレッジ活用となるような仕掛けづくりも考えられます。

10-7-5.KM志向の組織運営

新製品の開発には、開発、生産技術、販売などの部門による協働(Collaboration)が有効であると言われています。この協働体制は、カルロス・ゴーン氏が日産に導入して「クロスファンクショナル・チーム」の名前で有名になりましたが、日本の他の企業でも既に導入されていたものであり、ホンダでは、D(Development)の過程でE(Engineering)、S(Sales)を含めた3者プロジェクト・チームが結成されるので「SEDシステム」と呼ばれています。
この仕組みには、社員の創造性を活かし、アイデアにもっとよく耳を傾け、組織全体からより多くのアイデアを引き出すようにしたいと狙いがあり、「新しいナレッジは異質なナレッジの建設的対立・コラボレーションから生まれる」という「異質の交流」の効能を最大限に活かすための「場作り」の試みなのです。

つまり、工場のような効率性追求型部門では熟練という暗黙知があり、これの共同化・表出化・連結化・内面化のスパイラルアップが課題となります。これに対して、開発部門や販売部門のような創造性追求部門では、“勘”という暗黙知が問題となり、この“勘”を養うために他部門に関わった情報が必要となり、クロスファンクショナル・チームによる情報の把握が重要になるのです。日本の企業は組織の壁が高いためにクロス・ファンクショナリテイ不足しており協働が行いにくい企業体質になっておりました。カルロス・ゴーン氏の改革はこの点に風穴を開けたものと考えることができます。

必要なのは、部門の壁、消費者との壁を破壊することによって、情報を共有することです。情報の共有化が行われなければ、部門別の結果と全体としての成果の間の因果関係がわからなくなってしまいます。そうなると、部門ごとのそれぞれの情報に基づいた意思決定がシリーズで行われるのでは時間が掛かり過ぎますし、部門エゴを押し通したり、誰も全体としての成果に責任を持たなかったりという状態に陥ってしまいます。優れた企業文化や風土を持つ企業には、従来から“事実に基づいて議論する風土”や“正しい情報が伝わる”等といった特性があったものですが、インターネット/イントラネット時代となった今、こうした特性の上に“迅速な意思決定”や“情報の同時共有・共用により協働することができる”といった特性を具備していなければエクセレントカンパニーたりえなくなったのです。

10-8.イントラネットB to E(Business to Employee)

イントラネットを使って、企業(B)と社員(E)の間で、情報発信・情報収集を実施することです。総務・人事情報サービス、勤務管理・給与配付・交通費清算などのサービス、保養所予約などの福利厚生サービスなどをWebシステム化することにより、企業(B)の担当部門の作業の効率化を図ることができるとともに、サービス提供のスピード化・多様化により、社員(E)の満足度も高まります。

イントラネットB to Eの効能

社員(E)のスキルアップと自己啓発を側面支援するためのeラーニング(後述)も、KM(Knowledge Management)の一環であるとともに、この「イントラネットB to E(Business to Employee)」の一環として位置づけすることができます。イントラネットを社員(E)の情報共有を促すためのプラットフォームとして使うことによって、情報がいつでもどこからでも見られるようになりますので、従来は紙ベースで印刷・コピー・配布・回覧していた「社報」などの社内広報物も随時に発行・閲覧でき、企業(B)方針を社員(E)に確実・適時かつロー・コストで徹底できるようになりました。組織変更などによって変わることの多い社内電話番号も、都度「社内電話番号帳」を作成・配布する必要がなくWebページで瞬時に検索できますので、社内連絡が円滑化できるだけではなく顧客対応における満足度も向上します。


SFA(sales Force Automation)

SFA(Sales Force Automation)は、第8課「インターネットの諸相(B to Cビジネス)」の中でCRM(Customer Relation Management)の実行をになう営業実践面の仕組みとしてご紹介しましたが、これはイントラネットB to Eによる情報の内部共有化・共用化の仕組みでもありますので、ここで若干の補完説明をしておきます。

インターネット環境が特に「ブロードバンド化」と「モバイル化」の動きに拍車をかけられる形で進展することによって、「いつでも、どこでも」のいわゆる“ユビキタス・ネットワーク社会”実現の条件が整備されてきました。特に機動性が重視される営業部隊(Sales Force)にとっては「モバイル化」の進展が大きなインパクトを与えています。

携帯電話をSFA(Sales Force Automation)に活用し、顧客情報を携帯電話から本社に送ってデータベースを作成し、その情報を社外でも活用するようなことは広く行なわれていました。しかし、第三世代携帯電話をはじめとするモバイル機器の発達によって、次のような情報の内部共有化・共用化までできるようになりました。
現場の映像・音声をリアルタイムに伝送したり、自動車の位置情報をGPS( )によって送信し配車を効率化したりすることなどによって「いつでも、どこでも」営業・保守・物流が可能になった。
携帯情報端末を用いて店頭のPOS(Point Of Sales)情報を送って売れた商品の自動補給(SCM)を行なうとともに、この情報をグループウェアによって共有・共用できるようになった。

10-8-1.
SOHO(Small Office Home Office)とテレワーク

SFA(Sales Force Automation)関連の情報をイントラネットによって、しかも、携帯電話などの携帯端末で受発信することができれば、セールスは自宅や出先などで必要な情報の受発信ができるので、必ずしもオフィスに来る必要がなくなります。セールスは自宅から直接客先に出向き、客先から直接自宅に帰る、いわゆる「直行直帰」が可能になります。セールスの通勤のための時間的な負担を少なくして、かつ、客先滞在時間を長くすることができるので顧客満足度を高めることができるわけです。

オフィスに通うのには次の三つの理由が考えられます。

オフィスには仕事をするための環境や機器と、仕事をする上での必要な情報がある
オフィスには上司と部下がいて、仕事の指示や報告を直接したり受けたりすることができる
仕事にかかわる人間関係はオフィスを拠点としている
インターネットやイントラネットを活用すれば、仕事のための情報はグループウェアが管理し、イントラネットを通してそれにアクセスできます。電子メールや電子会議などで上司や部下、同僚などとの報告、指示、連絡を行なうこともできますので、オフィスに通う必要性が低くなり、これに代わってSOHO勤務やテレワークによる業務処理が可能になりました。

SOHO(Small Office Home Office)


SOHO(Small Office Home Office)は、空間的なビジネス形態としての意味だけでなく、新しいビジネスのあり方として注目を集めています。ADSLなどのブロードバンドの普及に伴って、小規模オフィス(SO:Small Office)においてLANあるいはグループウェア、インターネットなどネットワークを駆使して社内外のビジネス資源を自在に有効活用し大きな効果を生むビジネスを展開できる余地が一層拡大してきました。


テレワーク(Telework)

また、VPN(仮想私設網:Virtual Private Network)で接続しておけば、社員(E)は自宅(HO:Home Office)のPCから会社(B)のサーバーにアクセスしてイントラネットB to Eサービスなどによって必要な情報をやり取りすることができ、いながらにして業務を遂行することができます。「通信技術」を意味する「テレ(Tele)」と業務(ワーク:Work)の合成語である「テレワーク(Telework)」や「テレコミューティング」(Commuteは「通勤」の意味)という名のもとに「本来の職場に通勤しなくても働ける業務形態」も一層普及し、言われだしてから久しい「SOHOの時代」が実現する可能性が高まってきました。

CRMツールによるモーバイル支援

更には、携帯電話やPDA(携帯情報端末:Personal Digital Assistant)、モバイルPCなどによって、外出先または客先でフロント・オフィス系のSFA(Sales Force Automation)やバック・オフィス系のDWH(Data WareHouse)/DM(Data Mining)などのCRMツールの支援を得ることができるようになっていますので、とくに営業マンはHO(Home Office)どころかNO(No Office)になる傾向さえ現実に現れ始めています。
<こぼれ話>
Face to Faceのコミュニケーション

浜松町にある39階建ての東芝本社ビルは、当時としては最新鋭の「インテリジェントビル」として喧伝され、1984年竣工後しばらくの間、連日ひきも切らさぬ見学客が訪れていました。

ちょうどその頃、東芝に入社して以来20年間あまり経って初めて国際ビジネスに携わることになり、泥縄式に英会話の勉強を始めていた私にとっては、格好の英会話の練習の機会になりますので、外国人来訪者があるとよくビル見学の応接をさせてもらったものでした。受付エリアでの初対面の時から緊張の連続なのですが、最初の歓迎の言葉が思いのほか上手にできてホッとしていると後が大変でした。相手が「これは英会話のできるやつだ」と判断してしまうせいなのか、次の話がペラペラのスピードになり、とてもついていけなくなるからです。

また、たまに中国人や韓国人の応接をしたこともあるのですが、いずれもその向学心の強さには感嘆させられてしまいました。日本語ができないのに、日本語のブローシュアでも何でも持ち帰ったりして、日本からあらゆるものを学びとろうとする姿勢は、20年ほど前の日本人がアメリカから懸命になって学ぼうとする姿勢を髣髴とさせるものでした。

そんなある日、オランダからのお客様がビル見学に来られました。オランダでは英語が母国語ではなくて、第X外国語ですので、比較的気楽にブロークン・イングリッシュで応接していて、ビル見学コースの途中で「これからは情報通信の力で時間と空間を超えてビジネスができる時代です」と聞きかじりのセリフまで口にしてしまいました。すると、「そんな情報通信の時代なのに何故東芝はこんな大きなビルを建てて集中するのですか」の質問が帰ってきました。

不意をついたこの質間はまことに当を得たものでしたが、まことに返答に窮するものでもありました。そして、口ごもりながら、ブロークンが更にブロークンになって「日本ではFace to Faceのコミュニケーションが重要なのです。だから…」と、もうシドロモドロでした。現在、改めて、この答で良かったのかどうか“検証”してみますと、「正しい面はあるが、十分な回答にはなっていない」と言えるのではないかと思います。仕事を進める上で、「これはあの人に聞かないとわからない」という属人的なナレッジ(暗黙知)に依存するところが多く、Face to Faceのコミュニケーションが重要であったということは確かだったと思います。

しかし、インターネット/イントラネットが商用化されておらず、グループウェアなどのツールもなく、通信スピードも遅かった当時では“時間と空間を超えて”情報を共有化しながらビジネスを遂行することは現実的に不可能だったのですが、不肖私の回答にはこの点の叙述が欠けておりました。でも、かのオランダ人だったらなお「情報技術(IT)革新の起こった現在でも巨大ビルヘの集中は必要なのか」と質問してくるかもしれませんね。そんな時私でしたら、依然としてブロークンな英語で「不要化してきているし、現実にテレワークなども普及してきたが、なお暗黙知に依存するところが残る限りFace to Faceのコミュニケーションの場は必要なのだ」と答えることでしょう。

10-8-2.eラーニング

社内で行われる教育・研修は、企業(B)のもつ情報やナレッジを共有させることによって社員(E)を成長させ、これによって企業(B)の競争力を高めるところに狙いがあります。IT革新によって情報やナレッジを、電子媒体を通じて伝達・交換することが非常に容易になってきました。ここに、電子媒体による教育・研修eラーニング」が「情報・ナレッジ資源のサプライ・チェーン・マネジメント」として脚光を浴びている所以があります。

B to E/ナレッジマネジメントの実効

企業内大学(コーポレートユニバーシティ)を設立・運用するなどの方法によって、B to E ベースで情報やナレッジを効果的に社員(E)に流通させ、それを企業競争力の源泉として具体的な企業(B)業績向上の実現につなげようとする試みも随所になされています。社員(E)がどこにいようが、学習したい時に、欲しい教育・研修コンテンツをスピーディーに手に入れることができ、かつ学習した事柄を実務に生かせるようなサポート体制も合わせた形の総合的な学習システムが構築できれば、ナレッジマネジメントの実効が挙がり、企業(B)は常に外部環境の変化に適応できるような「学習する組織」になります。

eラーニング導入事例

以下にeラーニング導入に関する報道事例をご紹介します。

電機 eラーニングで研修
日立…これまでは集合教育などが主体だったが、時間や場所を選ばないeラーニングを取り入れ、2005年までに全教育の半分をeラーニング方式にする。1人あたりの教育時間を現在のほぼ2倍の年間約60時間にしながら、社員の研修出張旅費や講師の人件費を年間約2億円削減する。メニューとしては、取引先との交渉やプレゼンテーション、工場での安全管理、部下の評価方法などの他にシステムエンジニアなど職種ごとの専門メニューもある。
沖電気…所属部門の業務に直結する研修とは別に異動を希望する部門で求められる能力を事前に獲得できる研修を、ネットを用いて実施する。受講希望者はネット上で保有する資格や技術、異動希望の理由を盛り込んだ自己申告書で申請し、受講が認められると、能力に応じた研修内容が構成される。普段の業務への支障を避けるために、インターネットで自宅PCに教材を呼び出して学習するeラーニングが選定された。実際の異動に当たっては、人事部がネット経由で研修での成績や習熟度データを入手して判断し配属決定を行う。
東芝…2002/12システム構築部門を対象にeラーニングを中心とする企業内大学を設けた。電機業界ではシステム構築やサービス、コンサルティングの比重が高まり、社員の能力が企業の競争力に直結する場面が増えつつあるので情報技術(IT)を生かした社員教育への取り組みが重要さを増してきている。
(2003/4/14  日本経済新聞)
大阪ガス全社員約1万人にウェブで教育 サービスの底上げ目指す
大阪ガスは10月、9500人の全社員を対象にイントラネットを利用した教育システムを導入した。社員に周知徹底したい基本的なサービス知識やパソコンの使い方などを、一人一人が好きな時間に学習できるようにして、社員のスキルを底上げするのが狙い。
(2000/10/24  日経情報ストラテジー)
日本マクドナルド 13万人教育 ネット駆使
日本マクドナルドが全国3,900店、約13万人の従業員の教育にITを駆使している。インターネットを使って遠隔教育などをするeラーニング・システムの構築を日本マクドナルドは2000年に着手、現在は第二段階にある。
大きな効果があがっているのはまず、従業員が一カ所に集まって実地に学ぶ集合研修の管理業務で、店舗のパソコンから受講予約や教程の進捗管理をする仕組みにしたところ、運用の手間などを削減でき、年間800回開く集合研修の準備に必要だった運用コストが1/4になった。
また、従業員が業務手引書(マニュアル)を頻繁に参照するようになった。同社のマニュアルは3,000ページ以上あり、しかも年二回米国から送られてきて更新されるほか、新設備や商品の導入で内容が随時変わる。紙のマニュアルを開くのが面倒なため従来は変更点のメモ書きを参照する従業員が多かったが、社内ネットのホームページ形式に変えた結果、参照率が上がったという。
同社は今夏からeラーニング構築の第三段階に入る。外出先や従業員の自宅からでも携帯電話や携帯情報端末(PDA)、パソコンで参照などができるようにする。高速なADSL(非対称デジタル加入者線)を整備してデータ量が膨大な動画像を送りやすくし、顧客情報管理や人事管理など他の情報システムと関運づけ業務の連携を強化するとともに、従業員一人ひとりの顧客対応や店舗運営の細かいノウハウといった知識を蓄積し全員で共有する「ナレツジ・マネジメント」システムに発展させる。
(2003/3/3  日本経済新聞)


(Ver.1 2003/ 3/28)
(Ver.2 2004/ 7/14)
(Ver.3 2006/ 7/16
)

「インターネット・ビジネス論」トップページへ戻る
「東芝38年生の酒記」トップページへ戻る